雑種犬肉球日記

雑種犬が書いたブログ。

旧仮名遣い旧字体で読むとなんかやたら重厚

昨日、さんざん不穏当なものを読みたいとグダグダ云っていたので、さっき親父の部屋の書棚からバチくってきました。新潮社文學全集の芥川龍之介集。f:id:bf021hugtlang:20160913235242j:image

奥付の日付がすごい。昭和34年。だから、旧字体・旧仮名遣いなんですよ。ただでさえ「よっしゃ読むか」くらいの気合が求められるたぐいの作家なのに、更にやたらと重厚になる旧仮名遣いと旧字体ですから、音楽聴きながらとか、おやつ鬼ムシャしながらとか、ながらで何かのついでに読むとかもうエクストリームですわ。

しかし、気がつけば私、芥川龍之介の初読はこの本で、しかも当時中1…。どんだけかわいげのない餓鬼だったのか。ちなみにこの本の中でお気に入りは「河童」。かわいげなんて毛根から死滅してますな。

当時、親父に「河童」オモロイ好きだと云ったところ、ハーアやれやれと云いたげな顔をされましたが、親父のフェイバリットは「偸盗」に「奉教人の死」…。なんだよそれ今振り返ると疾風怒濤のロマンチストじゃねーかよ小っ恥ずかしいなオイィィィィイ‼︎‼︎ そんでもってその娘は、蔵書に日本本格探偵小説三大奇書黒死館殺人事件」「ドグラ・マグラ」「虚無への供物」網羅してる変な雑種犬かよ救いねえなもう‼︎‼︎ 山田君エーカー尺と旗竿持ってきて‼︎(解る人が大きく限定されるネタ)(おやつパンと犬おもちゃを持ってくる山田君)

 

しかし、改めて読んだ「地獄変」は、昔とは違う意味でひたすら怖ろしい小説だった。いやホント。

昔読んだときには、おっさん何でそこで娘助けないんだよ。てゆうか娘ラブよりも画道追求するのかよこえーよ。とか思ったんですけどね。今はね、娘の犯した罪っていうのが一切語られないまま、ただ罪人とだけ云われて連れてこられる、その罪をどう解釈するのかとか、お殿様のリアクションの謎とか、そっちがどうとでも受け取れるぶん怖いですね。

何に取り憑かれてるのか判る奴の怖さは、だいたい正体が判るからそれ程でもないけど、そうじゃない人間の怖さは底がしれない。測れない。

 

さて、この本はしばらく秘匿しておいて、「藪の中」も収録されてるから、近いうちに森見登美彦版「藪の中」と比較してみよう。

 

年月が経つと、まるっと読み解き方受け取り方が変わることもあるので、小説でも漫画でも再読するのもいいもんですね。