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雑種犬肉球日記

雑種犬が書いたブログ。

ナポレオンもヒトラーも偉大なるルーシの前では無力だったんだぜ

昔読んだ本を改めて読んでみたらすんごいことになってたこと、ありませんか。

この間、何の気なしに岩波文庫の「イワンのばか」を読んでみたら、児童文学全集で子供の頃に読んでたバージョンよりもパンチ強くてたまげました。

お話の流れ自体は同じなんだけど、昔読んだのは子供向けの翻訳なもんだから、ちょっとしたところで表現がマイルドになっているんですね。でも岩波文庫バージョンは、純粋に小説として翻訳されてるので、かなりの破壊力。イワン、お姫様と結婚して、すぐに義理の親父さん、つまり王様がポックリいくんだけど、舅が死ぬとすぐに野良着に着替えて畑仕事に出るし、お姫様文句言わないのかと思うと「彼女もやはりばかであった」(本文ママ)って、すげえな夫婦の危機が地の文1行で解決か。

トルストイってこの「イワンのばか」の他にも、ひょんなことから頭のゆるい若者を使用人として働かせていたら、実は…という「人は何によって生きるのか」とか、なんかいかにも説教くさい感じの民話が多いですが、やっぱりそこはロシア人。期待を裏切らず、見事に煮しめたような呑兵衛の話も書いてました。

「小さい悪魔がパンきれのつぐないをした話」。

百姓のおっちゃんが昼弁当がわりに持ったパンをくすねた小悪魔。パンがなくなったら、おっちゃんはホーリーシットくらいのことは言って、それをとっかかりにダラクさせられるだろうと思っていたら、おっちゃんは全く気にせず、あてがはずれたうえに、悪魔の親方から3年の期限を切られておっちゃんをダラクさせるリベンジをすることに。

どうしたのかって?

この小悪魔、結構な知能犯です。まず人間に化けて、おっちゃんの家に住み込みで働いて、先々の天気を読んでは、日照りが続くときは湿地に、雨が多い年には丘の上に、と畑作らせて、まず麦をしこたま作らせてから、今度はそれで酒を醸すことを教えるのですよ。頭いいなオイィ‼︎

で、酒を作るとそこは人情。おっちゃんは自分も呑むし人にもふるまうしで、奥さんが酒をうっかりこぼせば怒って怒鳴るようになりました。パン一つではたいして気にもとめなかったおっちゃんも、こと酒となると人が変わってしまいました。おっちゃん、酒をごちそうするにも金持ちにしか出さなかったり、もうすっかりしわんぼうですね。酒が進むとともに、呑み仲間同士でお世辞→些細なことから喧嘩→そのうちナニ言ってるのか判別不能、と、リアル酒呑みの習性を観察できます。悪魔の親方ご満悦。

まあトルストイなんで、やっぱり説教くさくはあるんだけど、この酒呑みのリアルさによる「呑兵衛あるある」でチャラですわ。たぶん、この呑兵衛の描写は一切困ることなかったんじゃないかしら。冬に寒いと酒呑んで体の中から温める、それがロシアンスピリット。(嘘をつくな)

 

なんだか大寒波襲来とかいってますが「ロシアよりは寒くない」とお経を唱えながらやり過ごします。