雑種犬肉球日記

雑種犬が書いたブログ。

「ユーリ!!! on ICE」第五滑走を語る・Vへの供物 その4

前回はやっと勇利がフリーを滑る…前まで行きましたが、今日こそ勇利のフリーに取りかかりますよ。

たぶんすごい文字数になりますが、明日は仕事だ。はっはっは。

 

演技が終わって、他の出場選手たちの応援をしている南くん。勇利が上げた南くんのモチベーションは、こんな風に良い循環を生み出しています。

そこへ響く足音。ふと振り向いた南くんの目に映ったその人は。

決然とした表情の勇利がいました。これから始まる演技に向けて覚悟を決め、腹を据えたその表情。今までになくキリッとした、おとこらしい勇利に南くんも思わず赤面しちゃいます。そのまま通り過ぎた、と思ったら戻った勇利、南くんの背中を思いっきり叩きました。

自分に気合を入れたのですね。

南くん、叩かれて痛い、けど勇利に叩かれたから嬉しい、けどいきなり過ぎて何が起こったのかよくわからない様子です。また勇利がそのまま涼しい顔で、黙って行っちゃうもんだから、そりゃあ混乱するよねえ。

キスクラでジャージを脱ぐと、ついにフリー曲のための新しい衣装のお目見えです。

シックな深い青のパンツとショートジャケットに黒のインナー、色味を抑えているぶん、ジャケットの背中には豪奢なスワロフスキーが刺繍されて、回想シーンで少し出てきた全日本での衣装と比べると、どこかおとなの雰囲気です。

「うん、やっぱりいいね、この衣装。勇利がいちばんうつくしく見える」

ヴィクトル=サンも満足そうですが、勇利の顔を見て、唇荒れてるね、と呟くと、リップバームのポットを開けました。サラッと出てくるこのリップバーム、シャネルだそうです。やだもうおしゃれかつセレブ…。

勇利が自分で塗るのかと思ったら、ヴィクトル=サンが指にとって、勇利の唇に塗って、からのハグ!!

この一連の動きの、当然だと言わんばかりのヴィクトル=サンと、当たり前に受け入れてる勇利の、師弟のこの、誰も割って入りようのない濃密な関係性!お互いをここまで信じてるってのも、凄いものがありますね。勇利のあとにくっついてきてた南くん、この光景を見て、おとなの色気にあてられて打ち震えています。まだ高校生だもんねえ。

一方、客席で応援しているミナコ先生と西郡は、勇利が4回転を冒頭の1本だけにすると聞いて、負けず嫌いに火がついてしまわないかと案じています。付き合い長いだけに、勇利は納得していないだろうとよくわかってるんですね。勇利、見抜かれてるよ。

いよいよ勇利のフリー滑走が初公開! 練習風景のシーンでちょっとだけ出た振り付け、試行錯誤の末に作り直してもらったあの曲を、フルで見せてくれます。

 

ヴィクトル=サンが見守る中、流れるようなピアノで静かに曲は始まります。

始まりは、独りで戦っているような気持ちでいた頃の勇利から。

「まず最初のコンビネーションジャンプ4ー3。ここは練習でもいつも決まってた」

とうなずくヴィクトル=サン。ところが、ここで勇利はいきなりこれを変更! 4ー2にしてしまいます。驚くヴィクトル=サン。強く自己主張するのが苦手な勇利の「スケートで語る」性分が如実にあらわれたのです。

「後半に3回転を入れるつもりか? というか、元の4回転3つ入れる構成に戻す気? 」

相談して決めたのに、といささか面白くなさそうなヴィクトル=サンですが、もう氷上に送り出してしまったら見守るしかありません。その瞬間の感情がすべてスケートに出てしまう、嘘のつけない滑りなので、今の勇利はきっと、負けん気がぼうぼう燃え盛っているのでは。

「ジャンプに気をとられるくらいなら、プログラムの完成度を優先させろって言ったのおぼえてる? 」

呆れつつも、まさかいきなりこんなかたちで言うことをきかないとは思いも寄らなくて、ヴィクトル=サンちょっとどうしたらいいのか悩んでませんか。

じっと勇利を見ながら、ちょっと不機嫌そうです。表情硬い! と心のうちで叱ってます。

「ここ、俺がコーチとして勇利の前にあらわれた情景だよね? コレじゃすっごいイヤそうだね? 」

演技云々でなくてそこですか! まあ、あそこまで勇利べったりだと、確かに面白くないだろうけど。

ピアノの旋律には少しずつストリングスが入り、物語の広がりを感じさせます。

トリプルサルコウ! クワドサルコウ…ステップアウト! やっぱり4回転3つの構成に戻す気だな」

ああもう見てられない! とばかりに、思わず顔を隠してしまうヴィクトル=サンですが、激怒というよりも、んもー、とでも言いたげで、ホントに勇利のこと好き過ぎでしょう。

「気持ちを切り替えて。…そう! トリプルルッツ! これはパーフェクト! 」

やっぱり見ずにはいられない。

「愛のようなものに気付くことができた勇利。…ここから後半なのに、もうきつそうだな」

送り出したんだから任せなくちゃ、と心配とで、もうごちゃごちゃですねヴィクトル=サン。

「アウトサイドイーグルイナバウアー。氷の上で今いちばんうつくしいのは自分だって気持ちでね。トリプルアクセル。…よし、こらえた! 」

気がつけば、思わずガッツポーズが出てしまうほど夢中で見ています。

次のコンビネーションで勇利は手をついてしまいましたが、惜しい! と声が出ちゃってます。

「ジャンプがちゃんと決まっている訳じゃないのに、観客が盛り上がっていく。スケートが音楽に乗っているからだ」

そこでヴィクトル=サンは気づくのです。今日の勇利は焦り過ぎている。

「いや、しかし、…だからこそ目が離せない! 」

もう、ジャンプの構成を変えただの完成度だのなんて話は空の彼方、勇利のスケートの虜になっています。そのくらい、勇利は今、この瞬間の自分を全部さらけ出して演技しています。夢中で滑って、ラストの4回転で壁に衝突!

アッチャートホホ、と言いたそうに頭を抱えたヴィクトル=サン。

「最後は3回転にして確実に点を取れって言ったのに。勇利がここまでコーチの言うことをきかないとはねえ」

チェレスティーノから聞いていた、従順過ぎるくらいの素直さとはえらい違いです。まさか、芯はこんなに強い子だったなんて。

誰に似たんだか、とぼんやり思ったそのとき。

演技が終わり、勇利が伸ばした手の先にいたのは。

「あ。……俺か? 」

勇利は鼻血が流れ落ちそうなのをこらえながら、ヴィクトル=サンを見つめています。観客は大興奮です。

会場に湧き上がる歓声に、ううん、とヴィクトル=サンは苦笑いです。

「ヤコフだったら即説教だったし、俺もそうしてきたけど…」

こんなにも勇利の演技に魅了されてしまっては、お説教も説得力がないですよ。どうしたもんかなあ、と悩むヴィクトル=サンの脇を見れば、

「ゆうりぐうううううん!!! 」

南くんが鼻水まで流して、感動のあまり号泣しています。すっかり毒気を抜かれてしまいました。

ミナコ先生も客席で号泣しています。子供の頃から、気が優し過ぎて損ばかりしてきた勇利をずっと見てきただけに、感動もひとしおでしょう。

そこでヴィクトル=サンの視線を感じた勇利、一瞬ビクッとして、気まずそうな愛想笑いで振り向きました。さっき南くんの背中を叩いて気合を入れたときとは、えらい表情の変化です。落差が激し過ぎるよ。

コーチの仏頂面に不安を掻き立てられて、テヘッ、と頭をかく勇利。ついに頭を抱えたヴィクトル=サンを見て、もしかして言うこときかなくて愛想をつかされたか、と不安で固まります。なんといっても、人生の半分ずっと追いかけ続けたヒーローですから、そりゃあおそろしい不安ですよね。

顔を上げて向き直ったヴィクトル=サン。

 

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バッ!と腕を広げて迎え入れる!

うん、そんなことされたら嬉しくて安心して泣いちゃうよね。

まっすぐにヴィクトル=サンの待つキスクラへ!

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「ヴィクトルー!! 」

「おっとハナヂー! 」

この画像の直後によけるの、ひどいよヴィクトル=サン! 面白いけどさあ!

 

というところで、今日は勇利のフリー演技初披露で一旦おしまい。

このパートでは、ヴィクトル=サンが初めて見る勇利の一面にどう反応するのか、がキーでしたが、思うように動いてくれない勇利をちゃんと受け入れられた、これでもう一つ山を越えましたね。

誰だって、普段人に見せている顔だけがその人のすべてという訳じゃない。不意にあらわれた意想外の顔を受け入れられるのか。その覚悟はあるのか。また、それをさらけ出せるのか。この人になら見せられると、信じることができるのか。

勇利とヴィクトル=サンはここを乗り越えることができました。よかった…。本当によかった…。

 

第五滑走も、もうマーライオンみたいな勢いで砂を吐きそうなほどとてつもない情報量ですね。次回でなんとか終わらせたいところ。

もう少しだけ、ご勘弁を。

では次の更新で!