雑種犬肉球日記

雑種犬が書いたブログ。

何だか時代を隔てて同志を発見したような心持ち

昨日は外出に星海坊主(親父)がついてきそうな悪寒で頭かかえていましたが、何だかんだで結局星海坊主は来ませんでしたよ。

で。

昨日の更新で書いた通り、行ってきました。葛飾北斎の「富嶽三十六景」観に、原宿の太田美術館に。

 

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まず北斎、それも「富嶽三十六景」というと、真っ先にコレが出てくると思うんだけど、なんていうか、めっさ自由というか、やりたい放題でロックなじーさんだったのを改めて確認しましたわ。

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こういうドラマチックな絵もあるんだけど、それよりも「だってこっちの方がカックイイじゃねーか」ってだけで、その構図取りでは見えないはずのもんを描いたり、明らかにアブナイな作業の仕方でも描いちまったりしてます。

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この絵なんて、材木をこんな立てかけ方するのもアブナイなのに、それを上で切ってる人間がいて、更に下からもう一人が切っていて、こんなことしてたらアブナイだろうが。でもカックイイから描いちゃう。今こんなことやったら、それこそ景観の実際をめっさ細かく云々する景観警察とかから突っ込まれそうだけど、このじーさん、きっとそんなもん知らすか。で終わるんだろうなあ。てやんでいべらぼーめ。

んで、美術館の展示室に入って、一番初めに展示してあるのがコレ。

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やっぱり親父の跡を継いで絵師になった北斎の娘が晩年に描いた最高の作品。

実際に観ると、とにかく繊細。色の使い方、光と影のコントラストがとにかく細やか。

弟子が残してた記録によると、娘の絵を見て北斎が「美人画描かせたら娘には勝てねえ」とか言ってたらしくて、確かに北斎もうまいんだけど、女性を描くと親父の方は「おっさんの目を通したおネエちゃん」的な、今風に例えるならグラビアアイドル的な雰囲気もほのかに漂ってるんだけど、娘のお栄さんが描いた美人画を観ると、おんなのこが見てもステキと思えるような、ファッション誌みたいな、同性の共感が得られる感じがあるんですよ。艶はあるんだけどいやらしくない。

この吉原を描いた絵も、粋で美しくて艶っぽいんだけど、悪所のギトギトがなくてサラリとしてますよね。

お栄さん自体がサバサバ系の女性だったらしくて、一度は絵師と結婚したものの、旦那が自分よりも絵の腕がアレな感じだったもんで「ちょwwwww下手wwwww」「まwwwwwじwwwwwでwwwww」とか言って別れちゃった。で、実家に戻って絵を描きながら親父さんの面倒見て、最期まで看取ったそうです。さすがに女性なので髪はいつもきちんとしていたものの、着るもんと住むところにはこだわらなかったとか、家の中が絵の描き損じや資料でカオスだったとか、あの、何だろう、すげえ親近感がグワッと。

浮世絵専門の小さな美術館だけど、この親子展なかなかよかったので、関東にお住いの皆様、29日の最終日までにぜひ、機会があったらご覧ください。原宿の太田美術館でやってます。

よし、明日また仕事してこよう。