一時的に、死の危険をおぼえた……。
ゆうべ観た「この世界の片隅に」ですが、映画の後半はもう号泣しかない展開。花粉症最盛期よりも鼻が詰まって、呼吸困難による死の気配を察知ですよ。おかげで今日は一日目が痛くて、朝出かけたものの、パナールちゃんの吹部の演奏だけ観て帰ってきました。デジイチ持って出たのに。
猛暑と、出先の近くにこれといって気になる場所がなかったのと、目が痛いのと、小遣いがないから、茹だりそうになっても喫茶店に避難することができない。
午後には帰って、エヤコンつけて連隊戦周回しながら「昆虫やばいぜ! 」の再放送待って観てました。
現在、夜光貝は27000個弱。仕事があるとなかなか周回は厳しいので、休みの日にひたすら回るしかない。まあ、子供たちは海水浴気分で楽しんでるみたいだし、保護者刀は弟たちが喜んでるので文句は出てませんが。これからハンガリー決勝観ながら周回の采配する予定。行けるだけ行って、少しでも数を稼いでおかなくては。千代金丸ひとりだけ琉球出身だから、さすがにのんきもんだらけの下宿屋本丸とはいっても、なかなかしっくりこないこともあるようで、せめて出身地が同じ仲間がいれば、多少はその辺違うだろうとね、思うんですよ。昼にソーキそばとか、おやつにサーターアンダギーとか、食べたいメンバーの頭数増えれば頼みやすいだろうし。ねえ。
ちなみに私、一度だけ沖縄行ったことがありまして、ソーキそばフツーにうまかったです。「あれはちょっと」とかいう方も多いと聞きますが、めっさナチュラルに食ってました。ラフテーだっけ? 角煮乗せて。あと泡盛はロックでしょう。あれは割って呑んでは魅力半減ですわ。
下宿屋本丸の食糧事情ですが、米は俵単位で買って、野菜は日常で必ず食べるものは畑で採る。たまに変わったものを使うときは市場でまとめて買う。おやつに使う製菓材料は、これも市場で大量購入。果物類は裏山で自生してるものをメインに、量が足りないとか山にはないものなどはやっぱりまとめ買い。魚は川の水ひいて生簀作ってるし、肉は熊とかイノシシ獲ってくるメンバーがいるし、まあなんとかなるさ。
基本、作れるものは作る。買ったほうが確実なものは買う。
みんな、小遣いで部屋に茶菓子とか酒とか買って隠してるの、管理人さん知ってる。
うちのお子様連中は、コーラとかよりもみっちゃんが作る梅シロップとかの方が好きみたいです。
さて「この世界の片隅に」だ。
あれは、やってることはとことん日常の由なしごと。後半のあの怒濤の展開は、今の我々の時代であれば交通事故とかになるんだろうけど、あの時代だからああいうかたちになるというだけで、それが証拠に、すずさんも周作さんも両親も義姉さんも、誰ひとり「戦争ガー」「時代ガー」なんてまったく言わない。日常で起こりうる事件に対して、いちいち時代や世相に責任を問う人間なんていないでしょ。全部が生活、当たり前に起こること起こりうることとして、みんながそれを意識すらせず暮らしてるんです。
普通に暮らしてるはずの主人公たちが、いちいち目ェ吊り上げて「時代ガー」「戦争ガー」やってる、先行する凡百の作品のいかに陳腐な、かつ芝居掛かってナンセンスなことよ。
すずさんが道ぱたの草摘んで料理に使ったり、米の炊き方工夫して楠公飯を再現したりするのは「戦時中で食糧難だから」じゃない。「食糧難だから工夫して少しでも腹を満たす足しにすることが当たり前の生活」だからやってるんです。毎日の生活で、イデオロギーだ思想だなんて小難しいこと考えませんよ。簡単節約術とか些細なライフハックとか、カレーうどんのオツリのシミが取れないとか隣のうちのいぬかわいいとか、そういうつまらんことばっかり考えるでしょ。その積み重ねを、ひたすら丹念に、しかもその描写に至る思考の積み重ねをおくびにも出さずに、さらっとやってみせる。ここに、この映画と片渕監督の凄味が凝縮されてると思うのです。
「過酷な時代」ではなく「過酷だろうと何だろうとみんなそれを基盤として生きてる」ということを描いている。
眉間にしわ寄せて目を吊り上げて喚かなくても、当たり前のことを当たり前に、丹念に描けば、ここまでのものを作れるんです。
当たり前に生活してる等身大の人たちを描いているからこそ、あの後半の展開で誰もが身につまされるし、最後のあの出逢いは、だからそこまですずさんを見守った観客への、何より北條家の人たちへの、ささやかな救いでもあるのでしょう。
それまで、少しずつではあれ、すずさんをやっと許せるようになってきていた義姉さんが、あそこで至極当たり前に、大事にしまっていた娘の服を出して「この子には少し小さいじゃろか」と寸法が合うか確認する、あれを当然の如く出せたところで、義姉さんも救われたんですよ。
「この世界の片隅に」は、決して反戦だの平和だのを訴えるイデオロギー映画なんかではない。そんなくだらないものではない。もっと普遍的なことを丹念に、慈しむように作られた、100年残る作品です。
私は完全版の円盤が出たら買う。必ず。
そうそう、下宿屋本丸でもおとな全員で「この世界の片隅に」観てましたが、何でだか薬研もまぎれてましたが、全員がもれなく号泣してました。最後の「風呂に入れにゃ」と「小さいじゃろか」で、江雪さんは感極まったのか「和睦の道はここにあったのですね! 」言ってました。
そんな下宿屋本丸では、いきなり「泣くと塩がもったいない」から派生して「もったいない」が流行りつつあります。どうしよう。
明日もう一日休みなので、小遣いもないし、いやあるにはあるけど、御手杵君に会いに行くときに突っ込むので、もうゴロゴロして連隊戦周回してやる。
たぶん休み明けに出勤したら「この世界の片隅に」を激推しするだろうけど、実際名作なのでしかたない。
マックスがんばれ。目指せ3連勝。