久しぶりに定時まで仕事した。
明日は休みなのよ。ええ。
で、もうやることやってあとはだらけて寝るだけなので、何をしようか。あ、映画観る人ー。
「ハイ」「はい」「はーい」「観るー」「俺もー」
一度にバラッバラで答えるのやめようか。
「姐さん今日は何を観るんだ? 」
え、うーん、そうだな、この前観た「日本の一番長い日」もう一遍観ておこうかと思ってたんだけど。
「また君は古い映画を! しかも地味! 地味過ぎてむしろ一周回って驚きだぜ! 」
えー。じゃあ「立喰師列伝」は?
「それは昼間にしてくれ姐御。あれと『孤独のグルメ』は夜中に観ると激烈に腹が減るからな。ちょっとした拷問だろ。勘弁してくれ」
「まさやんに同じく。夜中じゃ飯食いに出られないもんなー」
んもうこの子たちはー。
それじゃあ「スカイ・クロラ」は?
「まあ無難だな、と言いたいところだが、新人が三振りいるだろう。序盤でいきなり管理人さんが泣きだすと、何があったのか理解できなくておそろしがりはしないか。俺も初めて管理人さんとあの映画を観たときには、何があったのかと大いにうろたえたものだよ」
うん、ごめんな三日月じーさん。あのときはほんとごめんな…。じゃあ「スカイ・クロラ」はもう少し新人さんが本丸に慣れてからにしよう。
仕方ない。この前途中でやめてた「裏切りのサーカス」頭から観ようか?
「君、それだってどうということのないシーンで泣くだろう。今候補にあげていた映画よりはまだましだという程度で、結局そこは変わらないじゃないか。『魔笛』か『アマデウス』ではいけないのかい? せっかくこんな雅趣のある映画のDVDを持っているのに…」
歌仙さんすんません、その2本は、もっと体力に溢れてねむみがないときに観たい。
「そんなことを言って、じゃあいつ観るというんだい? 」
うーんうーん、待ってちょっと考えさせて。
あ、ねえ歌仙さん、そういえばHuluで「パディントン」やってる。明日あさっての昼間、子供たちが集まれるタイミングで、一緒に観ようか。おやつどきにお茶淹れてさあ。
「…じゃああさってあたりにどうかな。何か柿を使ったお菓子を作っておくよ。お小夜は柿が好きだからね」
あ、ご機嫌がよくなった。歌仙さんは小夜ちゃんと兼さんの福利厚生を充実させると機嫌がよくなるんだよなあ。わかりやすい。
「僕はもう寝るけど、君も明日は休みだからって遅くまで起きていてはダメだよ。親睦を深めるのはいいことだけど、君はもともと半病人みたいなものなんだからね、自覚を持って早くおやすみ」
うっすうっす。
ということで、決定しました。
今日はこれ観て寝ます。
スーツ着たコリン・ファースはいいぞ。
「姐御おっさん好きだよな」
「あと、キラキラしてないオットコ前な」
「ライコネン好きだしな」
「わかりやすいよな」
杵君たぬき君が厳しい。いいじゃん別に。なんだよふたりとも、このいい筋肉が!
「ハイハイどうせ呑むんだろ姐御。映画の前に布団出しとけよ。即寝られるようにしとけ」
「じゃあ俺、映画観たい奴探して声かけてくるわー。まさやん、ツマミなんでもいいよな? 」
優秀な近侍と補佐が動き始めました。とりあえず私も、フートン出してすぐ寝られるようにしておかなくては。
白山君はたぶんもう兄弟揃って寝てるだろうから、来るとしたら新人じーさんと大千鳥君だな。
明日もちゃんと早く起きて、洗濯して買い物も行きたいので、酒は程々にしておきます。誓うよ。そうだな、神に…ああ付喪神に誓おう。誰にしようかな。蜻蛉ちゃん、はこういうときに名前出すの不憫だし、誰か…
「僕なら大歓迎だよご主人様! 」
え、亀甲ずっといたの?
「当然だよ! だっていつご主人様のストレスが溜まって、僕の尻をぶっ叩きたくなるかわからないだろう! ああ僕は、理由もなく叩かれるとかはあまり好みではないけど、ご主人様にしていただけるなら話は別さ、なんでも大歓迎だよ! 」
いや、今は叩かないし、これから映画観るけど、静かにしていられるならおいで。
ということで、とりあえず亀甲に誓おう。明日は早く起きる。
ダメそうだったら起こしてな亀甲。