雑種犬肉球日記

雑種犬が書いたブログ。

例の一件はやり口が心底卑しいと思ったので何がどうひどいか整理してみた

なんだかんだ言ってきのうと同じような動き方になりました。

あと職場に電話して、明日のシフト打ち合わせの時間を確認。明日は2時頃に着けばいいそうな。

明日は早い時間にちゃんと起きなくては。

 

ああ、松が取れないうちに千代田の日枝神社行っておかなくては。

初詣がまだなので、ちょうどいいな。うん。

あとはタイミングだ。

 

そういえば年末のコミケで、どの方向から見てもやばいもんを売ってる参加者がいたようですね。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが。

ご存知ない方のためにざっくり言うと「禰豆子の着物」の名前で、あの柄の反物仕立てたんだか買い取ったんだかして、仕立て代込みで20万の値段つけて売っていたそうです。

これの何がやばいかについて、ちょっとお話ししましょう。

まず著作権・版権の面で、そのものズバリのキャラクター名をつけて販売したこと。

コミケは「ファンの自律性」を信用して、出版社や作家さんが観て観ぬふりをしてくれている場所なので、みんなグッズについては、同人誌のおまけや「それっぽいもの」として、きちんと非公式であることをはっきり出して、買う人売る人相互の納得の上で成立しているマーケットなわけです。だからあそこで売りたいのなら「それっぽい」ものとして出さなくちゃいけなかった。

次に、商品そのものについても非常に悪質なことをしていました。

ついったで流れてきた画像で、反物についていたPOPを見ましたが、多少なり着物に触れたことのある人間が見ると、真っ赤な真っ赤なニッケルシルバーメッキの宣伝文句が並んでおりました。

「友禅」だそうです。木綿地の反物が。ただ友禅を染める工房で染めを手がけたから、友禅なのだそうです。

着物はあまり詳しくない方にもわかりやすくお話しすると、友禅の名をつけるには、まず、

・絹地である

友禅染の技術で染めの作業をしている

・それ以外においても、きちんと定まった洗い方や干し方で作業されている

他にも細かくあるだろう、こうした条件がしっかり守られて、それで初めて「友禅」の名前がつけられるものなんです。ところが、この売り手は「友禅を染める工房が仕事をしたから友禅」と乱暴な宣伝文句、というより誘導ですね。着物に馴染みのない方には、とんでもない誤解を与える表現をしていました。

いうたら「ボルドーに工場建てて作ってもシャンメリーはワインにはなれない」というのと同じ。

更にもう一つ、問題は仕立てについて。

木綿地であれば、作れるのはせいぜい浴衣くらいでしょう。どんなに安く仕立てようと思っても、裏地をつけた袷で仕立てるのなら、ウールやポリの反物を使うでしょう。「洗える着物」なんてありますが、これもそうした手頃な日常着として作れる着物の一つですね。

で、ここで問題なのは、浴衣地で作るのか袷にできる生地なのかと言う表記もなく、採寸や仕立てにかかる期間の大まかな案内もない。手縫いなのかミシン仕立てなのかの説明すらないのはひどい。

いい着物が手縫いなのは、ミシンで縫うと反物に針の穴が開いて、解いて仕立て直そうと思っても再利用ができないからです。どんなにいい反物で、解いて縫い直せば親子二代、三代と着られる生地であっても、ミシンで縫ったらもうおしまい。だからいいものは職人さんが手で仕立てるし、季節ごとに気軽に買い換えるセット販売の浴衣は、全部ミシン仕立てなんです。

手縫いかミシンかですら、そういうめんどくせえ問題がありますが、更にその前段階の採寸も、それなりに知識がないと無理です。洋服とは採寸の仕方が違うので、ただスリーサイズや肩幅、袖丈、身長だけ測っておしまい、というわけにはいきません。しかも、仮にあの場で採寸するんだとして、ただでさえクッッッッッッソ寒い冬コミ会場で、10分15分、下手すればもっと時間かけて、コートやマフラー、場合によってはセーターも脱いでもらって採寸って、お客さんに風邪をひかせることになりませんか。それとも後日、他所で採寸するんでしょうか。それすらお客さんに判断できる材料がないのは不親切ですね。

そして最大の問題がお値段。はっきり言います。「反物1本の仕立て込みで20万」はぼったくりもいいところな、非常識な値段です。

たぶん、呉服屋の店頭に出ているマネキンを見て、同じくらいつけてもいいだろうと値段を決めたのでしょうが、あれね、一応は絹地の袷で、更に帯や草履、場合によってはクラッチバッグ帯留めまで、着物を着るのに必要なものは全部揃えたセット販売なので、木綿の浴衣地を仕立てるだけでこの値段は高すぎるのを通り越して悪質。実際に浴衣地を1本買って、採寸してもらって仕立ても頼むとして、現実的なお値段は、総額で上限12〜13万がせいぜいでしょう。確かに木綿地でも、きちんとしたものはそれなりにお値段がつくものもありますが、こうした場に持ち込むとは思えません。今回のものは、よくある一般的な反物でしょう。

みなさま、反物買って浴衣を作ろうと思ったときに、20万出して作ろうと思いますか。

呉服屋さんで採寸してもらえば、しばらくはそのデータを使って、同じお店で違うものも仕立ててもらえます。ちゃんと色や柄を見立ててくれて、似合うものや着るシチュエーションに合ったものをすすめてくれて、きちんと柄合わせもしてくれるでしょう。でも、1回こっきりであろうコミケの場で、20万出して浴衣1枚。「わーい作ろう」とは、あまり思えないのではないでしょうか。

ブームをうまいこと利用して、ものの良し悪しがわからない門外漢をいいように騙して金をせしめようという肚が見えませんか。騙された被害者がいないことを願うばかりです。

 

この反物を売ろうとしていた人物のついった垢は、このコミケ出品の一件で、会場で目撃された皆さんから「いくらなんでもまずいだろう」と指摘を受け、やれ弁護士に相談するの出版社に確認するのとごねた挙句、今日1日だんまりを決め込んでいるようですが、これはもう二重の意味で、原作のワニ先生やコミケに出品している他のサークルさん、一般入場したお客さん、反物仕立てた職人さんを馬鹿にしていると思うので、洒落にならないしっぺ返しが来ることを祈ってやみません。

「どうせヲタクなんてキャラクターの名前がついてりゃ、いくらの値段がついてても買うんだろ、馬鹿だから」「着物の仕立ての平均的な値段なんか知らないんだろ、こいつら」…この出品者がこう思っているとしても驚きません。そう思っていると受け取られても仕方ない宣伝文句であり、値段の付け方でしたから。

昔ちょっとだけ和裁を習っていた人間としては、この一件は本当に悪質だと思いました。デート商法ラッセンの版画売りつけるのと同質の下品さ卑しさを感じました。

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今回ちょっとめんどくせえ怒り方してますが、ちょっとだけとはいえ和裁を習ったことがあり、着物が好きで漫画やアニメも好きなので、こういう品性下劣な商売に利用されるのは頭にきます。

どうしてもあやかりたいなら「それっぽい」とだけしておいて、反物について正しくPOPを出し、採寸にかかる時間、仕立てにかかる期間、手縫いかミシン縫いかの案内を出し、初めて着物を着る人に向けた簡単なガイドペーパーでもつけて、値段ももっと常識的な価格帯に抑えていれば、歓迎されこそすれ、ここまで叩かれることはなかったと思いますよ。

コミケも規模がデカくなると、動く金の額だけ見て、漫画やアニメは毛程も好きでないくせに下衆な商売しようとする、この手の人間がすり寄ってくるのは困ったもんだ。

運営さん、次のコミケでまたこの人物が参加したら、出品したものをよく吟味してください。

 

今回の件、まじで被害者が一人もいないことを祈っております。悪質過ぎる。