雑種犬肉球日記

雑種犬が書いたブログ。

うちの本歌山姥切はもう苦労が染みついちゃってるのが不憫だが審神者には手厳しい

仕事してきた。定時までやって更に棚卸し。一旦上がり、2時間弱待機があったので、その間に近場のカフェで軽く飯を食い、それでもまだ時間があってプリン追加注文した。ただ、今日は本を持って出るの忘れたので、その間読んでたのは、青空文庫渡辺温。「可哀想な姉」が実に無残で美しいんだ。昭和初期あたりまでの小説は、タイトルからしていいものが多いので若者はみんないっぺん読んでみてほしい。渡辺温だけでも「ああ華族様だよ と私は嘘を吐くのであった」とか「氷れる花嫁」とか、もうタイトルだけで白飯3杯いける。

「不可。お国の情操教育に悪い。あの子がいないところで読んでくれないかな」

え。じゃあ吉村昭の「少女架刑」とかダメすか。梶井基次郎の「Kの昇天」は。

「不可。何度も同じことを言わせないでくれるかな」

そんな。それじゃあチョーさんから見て、どんなものなら大丈夫なんですか。

宮沢賢治の『セロ弾きのゴーシュ』とか『よだかの星』とか、そういう心洗われるお話をあの子に読ませてだね」

私、宮沢賢治なら「雁の童子」がなかなか薄気味悪くて、いまだに正体がつかめないあの感じが気になってたまに読み返すのだが。

「ああ、昔にご尊父様が君に買い与えたとかいう、あの年季の入った童話集に載っていたね、そういえば。それなら同じ本に収録されてる『グスコーブドリの伝記』とか『銀河鉄道の夜』を挙げてほしいところだけど」

いいだろ。昔初めて読んだときに、あの唐突に何も核心を語らずにバツンと終わる薄気味悪さが引っかかって、いまだに気になってるんだよ。だから私の中で宮沢賢治は、心洗われるお話を書いた人ではなく、薄気味悪い恐怖めいた因縁話を書く作家なんだよ。

宮沢賢治に闇とか暗黒面とかを見出すのは君くらいだろ」

いいだろ。私ゃなあ、江戸川乱歩とかも好きなんだよ。小学生の頃は少年探偵団を読んで育ったんだ。

「それじゃあ江戸川乱歩作品で一番好きなのは。どうせ『人でなしの恋』とか言うんだろう」

うんにゃ。「芋虫」。

「救いようがない! 」

え、もしやチョーさん「芋虫」は履修済み?

「君がときどき、亀甲に読み聞かせてやってるだろう。こう、彼をリクエスト通りに縛り上げて寝転がらせて。彼は喜んでるけど、正直お国が長期遠征で出かけているときだけにして欲しいところだよ」

あー、それで覚えちゃった? まあ、あれも言うたらこんな感じだよな。

「これは何の写真だい」

こういうおピンクなビデオがあるそうだよ。濡れ場じゃなくて、このご婦人はどこ吹く風で職人がソバ打ってるの。

「不可! お国の教育に悪い! 君絶対これお国に見せるなよ! 」

いやあ、まんば君これ見てもピクリとも来ないと思うよ。むしろソバ打ってるの見て腹減ったって言うよ。あの子は。

「とにかく、お国の教育に悪いものは見せるな、いいね! 」

ああ、うん、見せないから。だがチョーさん、まんば君はアレよ、心洗われるいいお話を読ませようと思ったところで「注文の多い料理店」を読んで腹の音を鳴り響かせてよだれ垂らしてると思うよ。

「君に俺の写しの何がわかる! 」

わからんことも多いけど、それでもここで一緒に過ごした6年分はわかるよ。あの子は愛よりも情緒よりもまずは飯。

「どうした本歌、株価が落ちたのか」

「呼吸するようにボケながら入ってくるんじゃないよ」

あ、まんば君、君はどんな本が好きかな。

「え、本? それなら『はらぺこあおむし』一択だ」

それは、えー、あおむしが延々なんか食べてるから?

「うまそうに食べるよな、あいつ」

ああ、うん、そうだね。

「お前のその食い意地はどこから来るんだ…」

「え、だって食べることは大事だぞ。メーテルだってそう言ってる」

「ああもう! お国、明日はお前非番だったな。俺と一緒に本屋に行くぞ。お前はもっといい本をたくさん読んで、心の豊かな写しになりなさい。いいね」

「本歌、何があったんだ」

深く問い質さずに、明日は付き合っておやり。な。

 

ということで、今日はだいぶ遅い時間になってやっと落ち着きました。

明日は朝のうちに起きて洗濯して、接骨院に行ってその足で郵便局と銀行に行かなくては。午後にはゆっくりできるようにして、またアイスティー仕込んで、F1の見逃し配信観て、まだ余力があったらえねっちけBSの「犬神家」配信を観る。

今日はもう少しゆっくりしたら寝るか。