仕事してきた。
帰ってからやることやって片付けて、そろそろ寝る支度をば、と思ったところで姉が来た。
去年来た当時は赤子だった犬がでかくなっていました。7キロってお前…。
もっと警戒されると思っていたら、あっさり抱かせやがって、しかも抱っこされたら落ち着きやがって、お前には警戒心がないのか。
このね、毛が生え変わるシーズンに入って抜け毛がすげえこの毛玉がね、明日も仕事から帰るといるのかと思うとね。人の顔をしこたま舐めてくれて、おいどうしてくれる風呂入ったのにベッタリじゃねえかかわいいなコノヤロー!
「待ってご主人様! ご主人様の忠実な犬はここだよ! 僕なら抱っこどころか、ご主人様を背中に乗せてどこへでもお連れするよ! 」
いいや、そういう「犬」じゃないんだ。今求められてるのは。
今日はさ、仕事終わって帰りの電車降りてみれば、すげえ雨降ってて、雷落ちててさ。うへえ、と思ったら「きろうか? 」って、え、と思ったらすごいいい笑顔で小豆君が。
「わたしはかみなりをきったこともあるんだよ」って、え、そんな、物腰穏やかな甘味の王子様でしょあなた。
「小豆はつよいのだぞ! 」
アッハイそうだよね! 謙信君の言う通りだよね!
とりあえず仕事は明日出れば休みなので、明日は帰ったら呑む。
ああ、明日は生ハム買っておかないとな。岩下の新生姜はあるからな、生ハムさえあればしこたま呑める。
明日は雨降らなかったら、夜はお子様連中に花火させてそれを見ながら酒呑んで、後半戦はそうだな、とうらぶ廻を観ながら呑んで、疲れたら寝るという感じでいこうかしら。
あさっては呼吸器科の診察なので、酒にやられない程度に呑みます。
そういうことでね、明日は帰ったら風呂入ってる間に洗濯して、犬を構って酒を呑もう。
「えっ犬? 」
亀甲お前じゃない。
「そっか…。うん、そっかあ…。そうだよね、ご主人様の犬は、僕だけじゃないものね。五月雨君村雲君とか村正君とか、他にもいるものね。僕はご主人様だけの犬だけど、ご主人様は僕だけのご主人様じゃないものね」
人聞きの悪いことを言うな。あとお前は犬じゃなくて刀でしょうに。
「あっそうだった! 僕、ご主人様の刀だった! 」
いいから、今度またトーハク行くから、そうしたら神護寺展観終わったら本館にも寄ってお前の恥ずかしいところを余すことなく見届けてやるから。この前も行ったけどまた見るから。
「え、そんな、僕の恥ずかしいところを…ああどうしよう僕のデリケートゾーンを全部見られちゃう! 」
さあ見てやるぞー。
ということで、明日も仕事なので仕方ない、行ってきます。生ハムを買うのを忘れるな俺。
明日の薬と寝る支度するか。