仕事してきた。帰りに本屋に寄って、鳩居堂の文具コーナーでお年玉用のポチ袋買って、それと一緒に本の予約してきた。3冊も。これで年末に8千円近くが吹き飛びます。

「何を頼んだのかな。金額については、どんなものを頼んだのかによるね」
えー、まず永野護の「FOOL for THE CITY」2025EDITIONです。
「君、その漫画はもう持っているだろう」
持ってるけど完全版なんです。40年経ってイロイロ補足情報があるんです。たぶん作者が書き下ろしイラストとか解説とか入れてるんです。
「あとの2冊は何かな。金額が大きいからね、あまりくだらないものだったら僕もさすがに少しはお小言を言わないといけない」
あとの2冊は、あの、もう持ってるものではあるんだけどね。
「君ねえ…」
いやあの、それでも歌仙さん絶対喜ぶやつだから。
「誤魔化すつもりかな。だが僕だって一応は紳士の端くれだ、まずは君の言い分を聞いてから叱ろうか」
叱る前提ってあなた。でもあれよ。まじで歌仙さん嬉しいはずよ。ウンベルト・エーコの「薔薇の名前」完全版の上下巻だもの。
「え、ちょっと待っておくれ。本当に? そんなものが出るのかい? 」
出る出る。今日の昼に知って、即本屋に行こうと決めたんだもの。
「それは…うん、正解だ。僕としたことが、厳しいことを言うのは早計だったね。ごめんよ。よかったら、君が読み終わってからでも構わない、僕にも読ませてくれると嬉しいな」
そらもう本丸の図書室に置くから、好きなだけ読みなさい。
「ありがとう! あの小説は、書を愛するものは洋の東西を問わずその心は変わらないことを、見事に描いているよね。そして、同時に僕らがかつての主と共にあった頃の、西洋の暮らしぶりや政治情勢、文化…。作者が驚くほど博識な方であるからか、とにかく広範囲なものが余すことなく収められている。僕は初めて読んだときに、感嘆と驚きで震えたよ」
昔、一度映画にもなったんよな。まあ、あの小説を映画にするってのは、相当に無謀だとは思うが。完全再現しようと思ったら、アニメでも難しいよ。確か会議のくだりは省略しちゃったんじゃなかったかな。
「終盤に登場する真犯人の動機は、ただ知識を追求することを目的として、心を忘れてしまうとああなってしまうのでは、とおそろしかったよ。僕も教条主義に堕ちることなく、血が通い心の伴った教養を身につけるよう、心がけようと自戒したよ」
こういうところ、やっぱり歌仙さんは、正しく本霊歌仙兼定さんの分身だなと思うよ。知的で物腰柔らかな好青年だったからな、本霊歌仙兼定さん。永青文庫の展示でお会いしたとき、ほんとにそんな感じだったのよ。
「まあ、僕だからね」
うん、よし。
「なんだい今の気合いは」
気にするな。で、「薔薇の名前」は、今日の今日で知って慌てて行ってみたら、何日も前に予約入れてる人たちの分で入荷埋まっちゃったそうで、とりあえず追加で来るであろう分から取り置きを頼んだが、初版はなあ、タイトルが箔押しになっててきれいなんだ…。「百年の孤独」文庫初版のときと同じテンションで盛り上がってる故に、初版で欲しいがどうなんだろう。追加分が初版である保証がない。
「通信販売だ! ほら、君はいつも、書店に行けないときはAmazonで頼むだろう? こんなときこそAmazonだよ! 」
けしかけるなあ。
はい、よし、今月思ったよりお金使ってないのでポチりました! コンビニ受け取りで。多分初版で来てくれるとは思うけど、まあ箔押しじゃなくてもそれはそれで愛そう。
しまった、今月お子様連中のクリスマスもあるから贅沢できねえなとか考えてたのにこれだ。
まあいいや。今日本屋さんで頼んではおいたが、本屋のお嬢さんも「いつになるかははっきりわかりません」って言ってたしな。そういえば「百年の孤独」の時もこんな感じだったな。あの時はまだ地元駅の本屋があって、ダメもとでそこで取り置き頼んだんだった。で、1冊だけ頼んだものの保管用と実用で欲しくて、そしたら聖地・立川の本屋でがんがんに山積みで初版の金色表紙があって、即座に保管用を買ったんだった。保管用は地の厚いビニールのカバーかけてきれいに取ってあります。

とりあえず、尼損で頼んだものが届いたら本屋さんのは断ろう。この手のものは、友達がよそで余分に買ってくれてたとかあるからな。
「そういえば、君が即座に買うと決める本は、何を基準に決めているのかな」
え? うーん、まあアレよな。ナボコフとウンベルト・エーコ、京極夏彦、永野護と押井守は、著者名を見て持ってない本だったら即買うと決めてる。
「趣味がいいのか悪いのか、なんとも言い難い」
なんかすげえ思い切ったことをやっちまった感はあるが、とりあえず今日はもう寝る支度しよう。明日は早い時間に岩盤浴行きたいので。
「あそこ、なぜ休憩所にあるのが漫画ばかりなんだろう。万葉集や古今和歌集なども置いてくれるといいと思わないかい? 」
いやほら、みんなほぐしに来てるからさ、そういうの置いちゃうと古文の勉強になっちゃって頭使うから…。
歌仙さんは釈然としないようですがもう寝る支度します。
明日は早く起きるか。

「なあ国広、二代目と姐さんが言ってた本って、あの図書室の書棚にある漬物石みてえな本だよな? もう持ってるのに、あれが2倍になるのか? 」
「兼さん、そこは触れちゃダメだよ? お口チャックしておこうね」