どうも。
今日は何の話をしましょうか。モーパイの劇場版の話しますか。マッドマックス怒りのデスロードの話にしますか。何でこの二択なのかは訊かないでください。単に気分ですから。
ちょっとついったで訊いてみよう。
……。
もうイイ。
今日・明日と前後編でやらせてもらいます。
今日は前編、まずはこちらから。
「モーレツ宇宙海賊 劇場版」。
人類が宇宙にその生活圏を広げた遠い未来。環境を改造し、生存可能にした開拓惑星で母と暮らす普通の女子高生・茉莉香は、父の死をきっかけに宇宙海賊船・弁天丸の船長となり、学業に部活、喫茶店のアルバイトに船長の仕事に邁進していました。
ある日、豪華客船からの依頼で、船客向けのアトラクションショー営業に向かう弁天丸。茉莉香は客船からの予備情報の中に、かねてより保護を依頼されていた少年・彼方の乗船を確認し、客船の旅行ツアーを扱っていた旅行会社の社長で部活のOG・ジェニー先輩に、ショーのアドリブ演出を持ちかけるところから映画は始まります。
謎の男たちに追われ、逃げるように客船に乗り込んだ彼方少年は、茉莉香の海賊襲撃ショーに乗じて弁天丸に保護されますが、彼を追う男たちは宇宙船の艦隊で弁天丸を追撃。追っ手を振り払い、茉莉香が自宅のある海明星へ戻ると、追っ手は茉莉香の所属する宇宙ヨット部の仲間たちをはじめ、惑星じゅうのネットワークの情報を盗み見ていたのでした。前部長でハッキングの天才・リン先輩の指揮と弁天丸の電子戦担当・クーリエ、百眼の協力のもと、部員一同は逆ハッキングを試みますが、その過程で、彼方少年を追う男たちの正体が判明します。他星系の企業・ユグドラシルグループ。彼らが彼方少年を追うのは、亜空間ダイバーである冒険家、彼方少年の父・無限博士の亜空間研究の成果を利用せんとするためでした。
茉莉香の友人でセレニティ星系の姫・グリューエルとヒルダ姉妹のゲストハウスに匿われ、久しぶりの静かな時間にも「博士の息子」と言われ続けたこれまでを想い、鬱々とする彼方少年。彼の苦悩に手を差し伸べたのは、ちょっと強情で、でもとてもけなげな小さなプリンセスでした。
彼方少年は茉莉香と弁天丸とともに、父が亜空間探検の果てに消息を絶った宙域へ向かいます。
自分が何を託されたのか。
自分の未来はどこにあるのか。
すべてを自分の目で見て、これから先の人生で決断する、その礎とするために。
劇中、追っ手のリーダー格として美女が登場します。この女性、彼方少年に対する様子が、単にユグドラシルの依頼を受けたから、という以上の因縁を匂わせます。彼女の正体は、無限博士の亜空間探検仲間のひとり、紅一点のカーリーでした。
博士のあくなき冒険の旅を追いかけ、追いかけても届かず、そしてついに追うことをあきらめた、そんなかなしい女性でした。彼女は彼方少年を捕らえようと追いかけ、彼の中に追いつくことが叶わなかったひとの影を視て追いかけ、毅然として自身の心を決して明らかにすることはないけれど、やはりどこかかなしいひとです。
追って追って、追いかけても追いつけず、飛ぶ羽は傷つきボロボロになって、ついに力尽きと部ことができなくなってしまった彼女にとって、だから終盤に見せたヒルダの選択は、とても痛烈な皮肉だったことでしょう。
追いかけるのが叶わないなら、迎えにゆけばよい。
亜空間の底で聞こえ始める、白鳳女学院宇宙ヨット部の唄は、そんな軽やかさ、しなやかさをたたえていました。
まだ中学生でもさすがは姫君、女としての格はヒルダの方が上でしたね。追いついて並び立つことしか考えられなかったカーリーに対して、サラリと「追いつけないのなら迎えにいけばいいのですわ」と、ヨット部の先輩たちと一緒に、軽々と宇宙へ飛び立ってしまう。
これが若さか…。
とにかくポジティブに、前を向いて空を見て歩いて行ける、そんなちからが湧く作品です。アニメだと敬遠せず、一度ご覧ください。