雑種犬肉球日記

雑種犬が書いたブログ。

おにぎりが最高のごちそうに思えてくるまんがの話

休みでした。

で、午前中にスポーツジム行って、ミニストップでユーリ!!!コラボお茶買って、スーパーで岩下の新生姜とコンビーフ買って、午後は接骨院に行ってから、夕飯まで「シドニアの騎士」第九惑星戦役の推移を見守っていました。てゆうかナガテとイザナの不器用な淡い初恋を見守っていました。

この二人、かわいいですよね。初々しくて。

衛人のパイロット養成校で出逢った頃は性別がなかったのに、ナガテと仲良くなっていくうちに、どんどんかわいらしくなっていくイザナの様子が、もうナガテのこと好きなのが丸わかりなんだけど、それでもイザナ本人には全く自覚なくて、でもナガテにおんなのこが近づくとヤキモチ焼いちゃう。そうこうするうちに、体はどんどんおんなのこに変わっていって、最後にはごまかしきれなくなって、パイロットスーツすら本人認証ができなくなっちゃうんだよねえ。だけど相変わらず一人称は「ボク」。やめろ!余計にかわいさ増幅されるでしょー!!

で、イザナは自分の体が変わっちゃったことで、ちょっと覚悟する部分も出てくるんだけど、ナガテがねえ。親友がどんどんかわいくなっていってるなら、普通は気づきそうなもんだけど、何しろ子供の頃から操縦のシミュレーションばっかりで、あとは食い気の方が強いからなあ。艦長に始まりパイロット仲間のおんなのこやベテランのお姉さん、司令補のユハタ、果ては衛人サイズのツムギまで、まじでハーレムなんだけど、誰ひとりとしてナガテの食い気と純朴さに勝てないのね。イザナ以外は。で、イザナはほんとにナガテのことが好きなのがよく解るので、なんか、こう、ナガテ早く気づけばよ!とね、一発しばいてしまいたくなります。しばいた勢いでよろけた拍子に、イザナ押し倒すような感じになるように。

ほんとこの二人早くくっついて。

あとイザナのおばあちゃんが、持てる限りの職権を駆使して全力で孫の恋路を実らせようとしてるの、もっとやれ。「魔法陣グルグル」闇魔法結社とミグミグ族ご先祖のようでたまらない。

それにしても、普段は勝生勇利と並んでおにぎりが似合う系天然少年なのに、いざ衛人で出撃して、しかもイザナが危ないと急におとこのこになっちゃうの、反則だよナガテ。かっこよすぎ。

 

「BRAM!」のイメージがあったせいか、弐瓶勉ってもっとソリッドでハードなものを描く人なのかと思っていましたが、この作品が想像していたよりもはるかに熱くて驚きました。いや、それでもナガテたちの知らないところで動いている、艦長や落合のバケバケ騙し合いは弐瓶アトモスフィア濃厚ですが。

3期あるよね。

落合海苔夫ちゃんの陰謀がまだ全容を明らかにしてないし、何よりナガテとイザナの、見てるこっちが恥ずか死ぬような小さな恋のメロディが!見たいんだよ!私は!

ああ、ナガテとイザナのキャッキャウフフは、志村けんのバカ夫婦みたいな感じでお願いします。

 

さて、言いたいこと言ったので、明日から仕事だし風呂入って寝ます。

シドニア、オープニング曲カックイイよね。

俺ブッスリいくのは得意な薬研クオリティなんだよなあ

働いて来たぜ。

今日から正式にフルタイムでの勤務。朝から果物を斬っ…切ってゆきます。

スイカだのパイナップルだの、でかい果物を切ってると、なんだか段々と薬研藤四郎にでもなったような、変な気分に襲われましてね。そう、薬研です。とうらぶの。見た目は美少年、中身は豪傑の、あの薬研藤四郎。

大きい果物って、とにかく割り切ってバッサリやらないと、きれいに切れないんですよ。そこへ持ってきて、パイナップルなんて皮が分厚いから、気分的にはもうコレぐらい削ぎ落とすつもりでいかないとダメ。

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そう、薬研のおもてなしぐらいやらないと。

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で、そのうちに贈答用のフルーツカットなんかもやるようになるかもしれないっていうので、帰りがけにいちごを買いましてね。帰ってからやってみたわけです。

輪切りのスライスにして、クルクル丸めてまとめるとバラの花みたいになるとかで、早速試してみたんですけどね。

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かわいそうないちごが錬成されました。

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もう大倶利伽羅も驚きのクオリティ。

なぜだ。

岩下の新生姜フィーチャリング生ハムや、岩下の新生姜withコンビーフマヨを錬成したときには、失敗なんて鼻毛の先ほどもなかったのに。

熟したのを使ったからか。身が柔らかくなっちゃってたからか。

まあいいや。

今度は違うもんで試そう。

気分直しに「シドニアの騎士」観ながら岩下の新生姜フィーチャリング生ハムで呑むか。

あ、明日はスポーツジムの帰りに、ミニストップとスーパーに寄って、「ユーリ!!! on ICE」コラボのペットボトルカバーと岩下の新生姜買っておかないと。接骨院はそれが済んでから。

明日何をどう片付けるか、方針が定まったので呑むか。

ひと包のレモンパイのためなら世界が滅びても構わないって由香里ちゃんも言ってたよね

今日は新しい職場の初出勤でした。

接客系なんだけど、アパレルみたいなすかした感じではなくて、先輩も気さくな人ばかりでしたよ。前がこう…、取っ付きが悪いというか、ごくわずかの例外を除いて他人とコミュニケーション取りたくない人ばかりが集まってたので、まともに会話が成立するってだけでもう、すげえ気が楽になりました。

今度の仕事は八百屋さんの果物部門。果物切って売り場に並べるわけです。甘い香りに包囲されて働くのです。そのうち仕事に慣れたら、贈答用のカットフルーツとかやるそうなので、今から少しずつやってみないといかんです。

明後日休みだし、明日の帰りに何か買って帰ろう。

今度の仕事は電車通勤でして、行き帰りにはアイッフォーンで音楽聴きながら通う感じになりそうです。今日は行きも帰りもずっと「離れずにそばにいて」デュエット…。もうしあわせ最高潮なラブい師弟が離れずにそばにいるんですよ。脳内で。ホント「スケトラ!!!」すごい。これほど接客系の仕事に最適なサントラ、そうそうないですよ。どの曲聴いても、作中のシーン思い出して顔が笑うもの。まじでホルモンバランス整うし、自然に笑顔になるからリフトアップ効果も得られるし、すさまじいアニメだよね「ユーリ!!! on ICE」って。

帰りには駅のパン屋で、ついに今年もレモンパイのシーズンが始まったのを確認。お金ないけどコレだけは買わないとダメな。買わないとセイシンテキが死ぬ。で、ホントは俺的コンビネゾンはレモンパイにダージリンが最適なんだけど、明日からうちの6時起きで朝が早くなるので、カフェインを避けて白桃烏龍茶にしました。明日はカフェイン摂る。ガバガバ摂る。

そうそう、連休中にチマチマいじっていたお絵かきアプリですが、落書きをラフに仕上げてみました。

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線画にカラーパレットからバケツ機能でバシャーしただけ。背景は旅行中に撮った下鴨神社の参道入口です。何となく使い方が摑めてきたので、もっとちゃんと本気で描いた絵にゴリゴリに手を入れたものも作ろう。

とか言いながら、「ロシア皇帝が枡形商店街に来たよらくがき」みたいなのばっかりだったらすんまっしぇん。

さあみんなでスペースオペラを読もうぜ

連休終わりましたね。

私、転職が決まりまして、明日から新しい職場で仕事始めです。

とりあえず最低限支度はしましたが、どうなることやら。

今日は休日の最後ということで、ダラーッと支度しながら、ダラーッと動画配信でアニメ観てましたが、うっかり観始めた「シドニアの騎士」が面白すぎて、何アレあんな面白いのだめじゃん、スペースオペラ熱が再発しちゃうじゃない。オープニング曲が軍歌調なのも燃える。

 

ああ、あとは新しいiPad導入したついでに、お絵かきアプリのカラーパレットを設定し直してました。デフォルトのパレットに、後から新たに作った色を足していたせいで、どこに何の色があるのかごちゃついていたので。カラーチャートの画像から1色ずつスポイトで吸い出して、パレットに乗せていくわけです。作業は面倒だけど、色彩の系統ごとに分別できたので、少しは楽になるかしら。

 

ゆうべはツイッター上で、北の大地基準のお花見会がありまして、開催からお開きまでの2時間で、ワイン1本空けちまいました。しばらく、仕事になれるまで断酒するかも。エロス…それは正常な判断ができなくなること…って勝生勇利の食事制限ダイエットか!

ううん、最近ロシアの若者ってあんまり酒呑まないって話も聞くけど、ヴィクトル=サンめっさ酒強そうな気がする…。ビールは水とか言ってそうな気がする…。

実際水ですし。

 

まだ3話まで観ただけだけど「シドニアの騎士」、これもかなりキャラクターの内面や、世界との関わり方について、突っ込んだ描写がありそうな気がする。

今、下手すると純文学よりもこういうポップカルチャーのほうが、ちゃんとそういうものを描いてますよ。

私、現在の純文学については、舞城王太郎芥川賞をあげなかった時点で、もうそれなりと思ってます。体裁だの設定や展開が突飛だのとつまらないことにこだわってるから、どの程度の数の人間が読んでるのかも危ぶまれるようなジャンルになってしまったんですよ。

中には森見登美彦とか佐藤亜紀とか、すごいものを書く人もいますけど、僅かな例外を除けば、あとはお察しなわけで。

まあ別にそれはいいや。

とりあえず「シドニアの騎士」の続きを少しづつ観ていこう。

暑いときには暑いなりの楽しみを探さないとやってられないんだぜ

あっついなあ。

連休もいよいよ終盤ですが、皆様いかがお過ごしでせうか。

私は、スマホで遊んでいたとうらぶのデータをパソコンと同期させたり、部屋を片付けたりお茶淹れてダラダラしたりしてました。

東京のど田舎は、連休中は見事に晴れていまして、今日もあっついです。

死ねと。私に死ねと。

もう夕方辺りから呑んでもいいよね?ダメ?

ツマミなら用意してあるの。岩下の新生姜フィーチャリング生ハム。あと岩下の新生姜withコンビーフマヨ。コンビーフマヨはクラカーに乗せると酒のツマミにできるからね。

ワインも買ってあるの。サンタ・カロリナの黒キャップ。600円もしないのに、飲みやすくてうまいんですよ。ああ、こんなに暑くなるなら、白にしてもよかったな。白はギッシギシに冷やして、ぶどう・桃・梨と一緒に呑むとうまいんですよ。

ああ、日が落ちる前に呑むなら、ビールもうまいよね。

何でだろ。水みたいなもんだからかしら。

ただ、私酒が入るとあんまりものを食べなくなるから、多少なりとも何か食べるようにしないと。食わずにドランカーになりやすいので。

 

さて、初夏になって、水っぽい果物が出回り始めましたね。

果物の皮って、どうされてますか。

私は、大概の果物はそのまま食べてしまいます。みかんやバナナみたいな、皮が厚いものはむきますが、梨とかぶどうならそのままいきます。慣れるといけますよ。

りんごなんて、十徳ナイフで割って、芯だけ取ってから皮ごと食べてしまいます。

桃はよく洗えば皮の産毛が落ちるので、そのまま半分に割って、果肉をくるくる回すと種が外れますから、これもそのまま。

あと無花果もおいしいですね。プラムとかソルダムは、買ってから2日3日置いて、熟したのを皮ごといくのがうまいです。

あ、こんな話すると、もう夏が楽しみな。

もうね、余程でない限りは、暑ければ暑いなりに楽しみを見つけて過ごそうかと思います。アイスだってそうめんだって、暑いときに食べるとおいしいですし、怪談だって暑い時季の楽しみだし。

欧米に行くと、怪談は冬場に楽しむもののようですが、あちらの方って夏は何をされるんでしょうね。

 

ああ、やっと少しだけど風が入るようになった。

今日は夕飯軽めにして呑もう。

「ユーリ!!! on ICE」という驚異を見つめる 第四滑走・その傷こそが輝きになるから【後編】

ここ2日は「ユーリ!!!」第四滑走にかかりきりでしたが、今日でそれも終わりです。

 

前回は第四滑走の要ともいうべき、海岸のシーンまでを、イロイロ考えながら観ていきましたが、今日はそこから先に進みます。

 

ヴィクト=サンとの対話で、人との関係の持ち方、踏み込むこと、踏み込まれることから逃げずに向き合おうと覚悟できるようになった勇利。少しずつ、自分の直感を信じられるようになりました。曲の作り直しを依頼して、ヴィクトル=サンにも報告します。一度はダメ出しをした曲ではあっても、自分に自信を持てるようになりつつある勇利が、直感でこれと選び取ったものです。勇利が見せる変化が嬉しくて、ヴィクトル=サンも「楽しみにしてる」と期待しています。そこで勇利は更に続けて、

「それまで、だから、ヴィクトルの飛べるジャンプ、全部教えてください!」

迷いがなくなったぶん、自分が進むべき方角がはっきりして、前へゆくためのちからを貪欲に求められるようになりました。

ユリオに続いて、勇利もいよいよ本格的にシーズンへ向けて動き出します。

 

ユリオはリリアの厳しい指導で、勇利はヴィクトル=サンとときに冗談を交えながらリラックスした空気で、それぞれ練習の毎日。

数日後の夜、勇利が、依頼していたデモ曲のアレンジがメールで届きました。すぐに寝入りばなのヴィクトル=サンを起こして、曲を聴いてもらいます。

聴くうちに、満面の笑顔に変わって大きくうなずきました。

翌朝の練習で、ジャンプの構成についてヴィクトル=サンが提案します。

インパクトを与えるなら、ラストのジャンプは4回転トウループでどうかな」

体力が大きく減った最後に、4回転の大技。ためらう勇利に、

「体力のある勇利ならできると思うけど、やめとく?」

ヴィクトル=サンのひと言に、即座にやる!と答える勇利。勇利ならできる、と信じてくれている気持ちが嬉しくて、それに答えたくなったのでしょうね。ここまで自分の言葉をまっすぐ信じて慕われるって、ヴィクトル=サン、コーチ冥利に尽きるよね。もうホントこの二人、お互いのこと好き過ぎだろ…。

デモ曲を聴いたときに感じた疑問を、ヴィクトル=サンが訊ねます。

「勇利、この曲、テーマ変えた?」

どこか弱い、と勇利本人も感じていた最初のバージョンから、大きく様変わりしていたのでしょうね。勇利はああ、とちょっと恥ずかしそうに口ごもって、

「テーマは、僕の愛についてです!」

この曲については、ずっと勇利が独りで動いて頑張っていたので、胸を張って誇るまではいかなくとも、やれるだけのことはやったという自負はある。ただ、それが正しい選択なのかは解らない。あとはヴィクトル=サンが自分以上に自分を信じてくれている、それだけを頼りに覚悟を決めるだけ。たぶん、そのぐらいの気持ちでいたのだろうと思います。

曲のテーマをきいて、ヴィクトル=サンはうなずきました。

「最高のテーマだね。完璧!」

たぶん、ヴィクトル=サンはこれを待っていたのだと思います。

勇利の中から、自然に湧き出る強い思い。だからこその、手放しの賞賛です。

フィギュアスケーターはアスリートであると同時に表現者、芸術家でもある。そこへ持ってきて、勇利のような、情緒的な表現で観客の心をつかむタイプのスケーターであれば余計に、お仕着せのテーマでは芯からの表現を見せることは難しい。そう、きっと勇利は自分の心に嘘をつけないのです。全部スケーティングに出てしまう。

だからこそ、セルフプロデュースで、そのままを表現させようとしたのでしょう。

 

そして、ついに運命のアサイン発表!

 

対抗意識で燃え上がっているユリオは、アサインと聞いて「日本の子ブタ、どこに出る!」なんて、めちゃくちゃ気にしてますね。

勇利の家では、ミナコ先生に西郡家族も駆けつけて、出場おめでとうパーティーです。

勇利は去年の成績不振により、まず国内大会からのスタートです。そこで勝ち上がってから、グランプリ中国大会、ロシア大会と進みますが、中国では大親友のピチット君、ロシアではユリオが待っています。その前の国内大会では、若手ホープといわれる南健次郎という選手もいて、なかなかの強敵なようですね。

ああそうか、と勇利はそこで、自分はもう終わったと思っていた去年のグランプリファイナルから、もう半年以上経っていて、ヴィクトル=サンがいないシーズンを初めて迎えるのだと、ぼんやりと思います。が、

「ヴィクトルがコーチとして帯同したら、勇利がスケート界からヴィクトルを奪い取ったって思われそうだよなあ」

「世界中のスケートファンから恨まれてたりして」

なんて西郡夫婦の軽口からプレッシャーを感じたり。二人ともおやめなさい。

でも、勇利は確実に強くなってきています。

「今までずっと、独りきりで戦ってると思ってた。でも、ヴィクトルがあらわれてそれは一変した」

ときに不安になることもあるけれど、自分を信じるに足る根拠が持てるようになった。

「昔と変わらないもの。変わってしまったもの。すべてが新鮮に飛び込んでくる。失ったものをもう一度手繰り寄せることはできないかもしれないけど、何がそこにあったのか、今は、よく視える」

目標が定まった。自信を持てるようにもなった。勇利は少しずつだけど強くなって、今なら目標へまっすぐ走って行ける。

そして、ユリオもまた強くなっています。

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「俺は、この容姿でいられる時間は短いんだ。今利用できるもんは全部突っ込んで、絶対勝つ!」

大人になりきる前の、性的に分化されきっていない思春期だけの限られた美しさは、15歳の今しか使えない、ユリオの大きな武器の一つです。自分にはない、勇利の情緒的な表現や艶に真っ向から挑むのであれば、大人になっている勇利にはないものも利用して戦うしかない。ユリオは腹をくくって、リリアのプロデュースに従い、髪を伸ばして中性的な雰囲気をさらに強くします。練習中、ハーフアップにした髪を解くと、リリアも思わず「美しいわ」と漏らすほどの天使のような清らかさ。

日々練習に明け暮れながら、勇利は祈ります。

「僕達の競技人生は短い。きっとこれが僕のラストシーズンになる。ヴィクトルがあらわれていつまでいてくれるかも、体がもつかどうかも判らない。だから神様。どうか今だけ、ヴィクトルの時間を僕にください」

勇利にしてみれば「ラストシーズンにスケートの神様が最高の夢を見せてくれた」という感じなのでしょう。元々が謙虚な子だから、こんなに幸せでバチが当たるかも、と思っているかもしれません。

第四滑走のラストは、デモ曲にタイトルがつきます。

勇利が曲のデータを焼いたディスクに書いた、そのタイトル。

 

「YURI on ICE」。

 

この曲と、ヴィクトル=サンから託された「愛について」。愛をうたう2つの曲を引っさげて、勇利は新たなシーズンに挑みます。

 

こうしてみると、本当にこの第四滑走が最初の山なんですよね。ここで見事に、これまで見せてきたキャラクターたちの関係が強固なものになって、更に成長の兆しも見せてくれる。

こんなすごいことを、30分の1話分でやってるんですよ。

どんな奇跡なんですか。

ホントもう、何ぞ…何ぞコレ…!

断言します。「ユーリ!!!on ICE」は、青春小説や純文学でやるようなことを、よりスマートに、ど直球に、しかも面白くかつ感動的にやってます。

文字通り「触れる私と触れられるあなた」を、こんなに優しく美しく見せてくれるなんて。

ありがとう!

 

さあ、折を見て第五滑走にかかろう。

「ユーリ!!! on ICE」という驚異を見つめる 第四滑走・その傷こそが輝きになるから【中編】

前回はユリオが基礎練習に開眼してバレエコーチがついたところまで進みましたよね。

今回はその続きからいきますよ。

お話ははせつに戻ります。

 

ユリオとのLINE文通でバレエコーチが付いて、一日中厳しく指導されていると近況報告があったと話す優子ちゃんも、勇利のフリー曲がまだ決まらないことを心配しています。

ヴィクトル=サンにコレはと思う曲を聴かせたものの、

「あーそー、こーゆーのなんだー。他にも候補考えてみて?」

微笑みとともにダメ出しをされ、

「反応薄くてね」

勇利も表情が冴えません。

曲も振り付けもコーチの提案。勇利はこれまでずっとそうするのが当たり前になっていましたが、

「でも、ヴィクトルは違った」

自身でテーマを決めて、それを基にプログラムのための音楽を作り、自分で振り付けをして、独自の物語を生み出す。

「僕も、いつかそんな風にできたら、なんて憧れてはいたけど…」

これまで何をおいてもと我を通すほどの根拠を持てずにいたので、周囲から「あなたはこうだから」と言われたとおりにやってきたのでしょう。

優等生ではあるけど、はめられた枷を壊すような覇気、それを生み出す基になる核が見いだせずにいたんですね。

考えるほど解らなくなって、気分転換に大の親友に電話。

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親友のピチット君は、「勇利がいなくなってつまらない」と、ホームリンクをデトロイトから故郷のタイに移していました。

「ねえピチット君。あれ憶えてる?作ってもらったデモ曲」

勇利が訊ねると、さすがは親友。ちゃんと憶えていました。どうやら共通の知人に頼んだものだったようですが、

「結局お蔵入りになっちゃって、」

曲を作ったおんなのこは、せっかくだから持っていて、と答えますが、むしろ勇利のほうが気に病んでいたようです。せっかく作ってくれたのに、厚意をお蔵入りにしてしまった、と思っていたのでしょう。気が優しいだけに、人の厚意を無下にしてしまうのが申し訳なく感じられるのですね。そのせいか、当のおんなのことは気まずくなってしまったようです。

その辺りの事情を察したピチット君は、なあんだ、と笑って仲介役を買って出てくれました。いい子だ…。天使だ…。たぶん、デトロイトにいた頃も、こんな風に持ち前の人懐っこさと無邪気さでもって、勇利のフォローをしていたのでしょう。勇利はずっと、ピチット君の天性の明るさに救われていたのでは。

ヴィクトル=サンには他の曲も、と言われていたものの、勇利はどうしても、お蔵入りになったこのデモ曲が気になっていました。ちょっと弱くて決め手には欠けるかもしれないけれど、

「曲のイメージで注文したのは『僕のスケート人生をそのまま音楽で表現したい』だったから」

自分の、どこか勝負弱いところを見事に表現された曲なだけに、それが引っかかっていたのです。それなら、勝負弱くて決め手に欠けるこの曲を使うのなら。

「…どう変えればよかったんだろう?」

このデモ曲にこだわるところで、勇利の変化の予感がさり気なく、また決定的に描かれています。

これまでの勇利なら、チェレスティーノに曲を持っていったときのように、コーチが首を傾げたら自分の案を引っ込めてしまっていたでしょうが、ヴィクトル=サンからダメ出しをされてもなお考えている、というところ。ここで「ヴィクトルなら僕の直感を信じてくれる」「この人が信じてくれる自分」なら信じられる、と確信を持つ根拠になったのでしょう。

ずっと孤独に生きていくことを引き受けていた勇利です。孤独ということは、拒否するにしても愛するにしても、比較する他者がいないということです。そんなところに、抵抗も肯定も生まれようはなくて、だから勇利は何につけ言われたとおりにやってきてしまった。でも、そこにあらわれたヴィクトル=サンは、フリー曲を勇利に決めさせることで、こう伝えてきたのです。

 

勇利のオリジナルを見たい。

君だけの物語を見せてほしい。

君のことをもっと知りたい。

 

なんて罪作りな…。

でも、10年来憧れてきた人に、そこまで可能性を感じられて伸びしろがあるって言われたら、予想の斜め上を行こうと頑張りますよね。まだまだ。こんなこともできるよ。って、ドヤ顔で見せて驚かせたい。

ロシアではユリオが、基礎の基礎からバレエレッスンを受けています。

「もっと自分を捨てなさい!」

「過去の自分は死にました!」

思春期真っ只中の自意識は邪魔にしかならない、とばかりに、勝ちに行くレッスンで基本を叩き込まれています。

おはようからおやすみまでコーチと一緒、は勇利もユリオも同じですが、ユリオはときに過剰なまでの自信を抑えて己の真の力量を知るためであろうと思われますけど、勇利はむしろ、コーチが張り付いて褒めて褒めて自信をつけさせるのが目的なのではないかと。というより、ヴィクトル=サン自身がまず勇利のファンだから、ちょっとは離れろよと言われてもへばりついてるよね。

しかし、そんな勇利大好きのヴィクトル=サンは、天才ゆえに、万事に自信を持てない勇利の心を読みきれません。なかなか曲を決められない教え子に、自分の判断を信じるときの基準として、

「たとえば、思い出してみるんだ。恋人に愛されたこと」

いやあなたそれアドバイスにならない。世界一もてるおとこが言うとイヤミにしかならないから。

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「あぁ?」

ほらごらんなさい!勇利のこれまでの生活は、スケートとヴィクトル=サンだけで構成されていても不思議じゃないレベルなんだから。

無意識にキレた勇利ですが、憧れのヴィクトル=サン相手にキレてしまったショックですぐに我に返って必死に謝るものの、ヴィクトル=サンはどうも勇利には恋人がいなかったであろうことを見て取って、悪いこと言っちゃったかなという雰囲気。練習後、外出に誘ったり、お風呂に誘ったり、一緒に寝ようと誘ったり、と涙ぐましい努力ですが、勇利は目も合わせずに全部スルー。

勇利にしてみれば「恋人の一人もいないような、なんの魅力もないスケーターだとがっかりされたのではないか」と不安でいっぱいなんですね。その程度の魅力もない人間に教えたところで、ものにはなるまいと失望されてしまったらどうしよう、と。だから、ヴィクトル=サンは必死のごみんねモード全開でフォローに努めているけれど「もう僕なんてその程度なので傷口広げないでください」とばかりに塩な反応になってます。

翌朝の練習も気まずくて出られずに寝ているものの、基本が気にしいなので罪悪感にのたうってます。そこへアイスキャッスルから帰ったヴィクトル=サンが。

「おはよう勇利。海にでも行こうか?」

怒るどころか笑顔。でも後ろめたくて、ハイとしか答えられません。

ホントもうヴィクトル=サン、勇利のやることなら許しちゃうんだな…。

 

二人とマッカチンが並んで海を見ながら話す、このシーンが第四滑走のコアですね。ここで、ヴィクトル=サンと勇利の関係が、少しづつ動き始めます。

全12話の中でも、重要な位置を占める印象深いシーンだと思います。

 

海鳥を見て、ヴィクトル=サンは啼き声を聞くと故郷を思い出す、と言います。こんな風に異国で暮らすとは思ってもみなかったので、サンクトペテルブルクにいた頃は気にもとめていなかった、と。

「勇利は、そんなことない?」

膝を抱えて、ユウリは訥々と思い出を語ります。

デトロイトにいた頃、ぐいぐいとコミュニケーションを取ろうとするおんなのこがいたこと。ある日、リンクメイトの一人が事故にあったこと。勇利はとっても不安で、

「病院の待合室でその子と待ってたとき、慰めるように抱きしめてくれたその子を、無意識に突き飛ばしちゃったんです」

「ワオ。何故?」

「動揺してるって思われたくなくて。心の中まで踏み込まれたみたいで、とても厭だった」

弱いからこそ、独りでも立てる強さを手に入れたいのに。「あなたは弱いから」と決めつけていたわられるのは「強くなんてなれない」と言われているようで、勇利にはなにより傷つくことだったのでしょう。

「そのとき気がついたんだ。ミナコ先生も西郡も、優子ちゃんもうちの家族も、弱い僕を弱い人間として扱ってなかった。ちゃんと成長できるって信じてくれて、心の中に踏み込まないでくれたんだなって」

その勇利の言葉に、ヴィクトル=サンは、当たり前だろうというような、確信に満ちているゆえにあっさりとした口調で答えます。

 

「勇利は弱くないよ」

 

この一言を、ここまで確信を持って、当たり前だと言わんばかりに自然に口に出せる。これだけで、もう勇利にとっては自分に自信を持つに足る根拠となる言葉ですよ。

さらにヴィクトル=サンは勇利に、自分にどんな立場でいてほしいかと訊ねます。父親。兄。友人。うーん、と考える勇利に、

「じゃあ恋人か。…頑張ってみるか」

勇利が一番心地よいと感じる距離でアプローチすることで、才能を伸ばしたいという、ヴィクトル=サンの本気さ加減がうかがえるやり取りです。

勇利の答えは、そのどれでもありませんでした。

「ヴィクトルには、ヴィクトルでいてほしい」

役割意識にとらわれず、ヴィクトル=サンが信じるままにコーチをしてほしいと思っているのでしょう。憧れの人を役割で縛るなんてできない。

「僕のいやなところを見せたくなくて、あんな、無視したりして。…全部、スケートで返すから!」

勇利はホントに賢い子です。憧れの人を人が相手ですから、そりゃあ自分をよく見せたくもなりますが、一緒に勝ちに行こうとしているパートナーである以上、見栄なんか張っていてはどうにもならない。そこに気づいて、一緒に勝つことに専念しようと決めた。

「オーケイ。手加減はしないよ。それが俺の愛だからね」

ヴィクトル=サンも、勇利のそんな覚悟を察して答えます。手加減はしない、つまり、勇利はそれでもちゃんとついてこられて、結果を出せる強い子だと、自分も信じていると示したのです。

見栄を張ったり距離を測って逃げ腰にならなくても、ちゃんとそれとなくそばにいてくれる、とヴィクトル=サンを信じられるようになった勇利。いよいよ、少しずつ変わり始めます。

「踏み込んだ分だけ、踏み込んでくれる。踏み込むのを怖がってちゃダメだ!」

まだささやかなものではあっても、勇気を持てるようになりました。

 

今はまだ、どうにか湧き出したばかりの感情でも、それを大切にしてくれる人がいて、その人のためにもこれを守ろうと思える覚悟がある。

ここで初めて、勇利はもう自分が独りではないことを知ったのでしょう。まさに「触れる私と触れられるあなた」を地で行く二人になったのですよ。(ミナコ先生ばりの滝の如き涙)

ここで今日は終わり。残りはまた明日に持ち越し。

ホント、なんて濃密な物語だ…。