出勤の途中で転んで負傷したのであった。
半日だけでもうとにかく無理だから早退させてもろうて、眼鏡屋でフレーム歪んだのを直してもらってから接骨院。
腫れてないし内出血もないのでなんだろうなと思ったら、今こんなことになりましてね。
「固定しよう」と言われまして「いやそんな捻挫じゃないんだからプスプス」と答えたら「いや捻挫だからね? 」ってそんな。
邪王炎黒龍殺を会得する流れなのか?
明日接骨院に行って、状態がよければテーピングになるので、たぶん固定は今晩だけだろうけどな。
それより夕飯の後の片付けとシンク掃除ができねえのがなんとも。
「何言ってんだ大将、接骨院で自分の名前書けなくて、左手で強引に書いてたじゃねえか」
どうだ鶴丸驚いたか。
「姐さんほんとやめてこういうの」
なんだよどいつもこいつも。
「ご主人様、記名は僕が代わるし、掃除だって洗濯だって僕がやるよ! ご主人様は座ってお茶でも飲みながら、ただ『やれ』とだけお命じになればいいんだよ! ああでも痛いのは嫌だよね、それも僕が代わって差し上げられたらいいのに! ああもどかしい! 」
なんか見事にいつも通りな子がきたな。逆に安心したわ。
ううん、酒呑みたいな。
「ダメだよご主人様! 薬研君がお酒はダメだって。血行がよくなりすぎて悪化しちゃうよ! 」
えー。
「お酒なんてもってのほかだよ。さ、麦茶を淹れたからね、これを飲んでおやすみ」
「そうだぜ姐さん、洗濯は明日の朝にしとけって」
とりあえず明日は接骨院行って、マミーを美容院に連れて行くので、呑みたいがやめておくかな。
「やめておくかなじゃあないよ、やめなさい」
チョッわかったよ。
「これ、舌打ち! 」
「大将、四合瓶はすぐなくなるって言ってたろう。今日休むとそれだけ楽しみが先まで続くぜ」
さあもう痛いは痛いが、仕方ない。フートン出して寝るか。
明日の支度はもう起きてからやる。