趣味のひとつが読書であるせいか、油断するとすぐに本が増殖して、あっという間に部屋が汚部屋になります。
一度、徹底的に整理しようと思って、本棚から本を全部出してみたことがあります。
10冊以上積み上げた本の塊で、六畳間が埋まりました。
改めて整理して、いらないものを処分してから本棚に収めたものの、片付けるのに一週間かかりました。
片付けるたびに「もう増やさない」と思うのに、翌日にはもう、Amazonや近所の本屋で掘り出し物を見つけて、迷うことなく即座に買っているんだから世話がない。
割と無節操に、興味を惹かれたものは何でも読みます。本棚にはノンフィクションのルポルタージュからギャグ漫画、アート系の写真集、ライトノベル、金魚の飼育本から本格探偵小説まで、お世辞にも「おしゃれ」とは云えない雑然としたラインナップで、とてもひと様にはお見せできないカオスぶりです。
「真説 光クラブ事件」と「ロリータ」、「有頂天家族」、「聖☆おにいさん」と「虚無への供物」、「血界戦線」が共存しています。
どこまで見境ないのか。
その、どんどん増える本の中でも、特に何度も読み返す本もいくつかあります。
たいがいは何かの折りにふと思い出して読み返す、くらいの蔵書たちの中にあって、読み返す頻度が高いもの。
ウィリアム・ギブスンはスプロール三部作、中でも「カウント・ゼロ」推しです。いやだってボビイかわいいんだもの。スワインじゃない、ニューマークの方だよ(読んでる人にしか解らないネタやめれ)。
「聚楽 太閤の錬金窟」は、あまりに読み返し過ぎて文庫本のカバーがすり切れて、セロテープで修繕しています。
他にもまだまだありますが、そんな中で、夏になると必ず読み返すのが、この二冊。
菊地秀行先生の「インベーダー・サマー」「風の名はアムネジア」。
数年前に出た合本「インベーダー・ストリート」じゃないところがミソ(腹の立つドヤ顔)。
どちらも重版だけど朝日ソノラマ版で、もう時代感じちゃう。
出逢いは中学生の頃、図書館で。その後、高校生になって本屋で再会、それ以来ずっと、手放すことなく今に至っております。
名作です。
一方はひなびた地方都市、もう一方はアメリカを横断する旅路、と舞台や状況は違えど、どちらも大人になる少し手前の少年少女の物語です。
描かれる季節は夏。
読み返すたびに少しずつ、主人公たちの年齢から遠ざかってゆきながら、毎年毎年、夏という季節、十代後半という歳頃、人にも季節にも共にある一瞬の時季の美しさ残酷さに思いを馳せ、何度読んでも変わらぬ切なさに、改めてすごい小説だと感じいるのです。この二冊には紛れもなく、暑い、息苦しいほどまといつく、真夏のとろりと漂うそよ風が吹いています。
ううん、「エイリアン・ストリート」入手して読み比べてみようか。