仕事して接骨院に行っている間に、大戦の気配が濃厚になっていたのであった。
え、こんな一大事に近侍がジャージでくつろぎすぎだろって、そんな、うちではこれが通常運転ですが? 一大事だろうと天変地異だろうと、いちいちうろたえていたら、勝てるものも勝てないのだが?
ということで、うちではもう、連隊戦終わって物足りなかったね。とか言ってた全員が盛り上がって、ひと狩り行くぐらいの気分で周回決定です。配布の手形に1度2度手形買い足しただけで丙キチパイセン3振り来てくれたから、思ってたよりコーベイン使ってないんですよ。なので、我が下宿屋本丸では配布の手形と1日2回フル回復で買い足し、で周回しようかと思います。
そりゃ気持ちとしてはなんぼでもコーベイン溶かして経験値稼ぎたいところですがね、思い出すのは大侵寇。あのときも最後はコーベインで殴って経験値を稼ぎに行っていた。いくら千両箱があるとはいえ、備蓄に手を出すのは最後の手段にしたい。
「よかよか! 金は最強にして最大の武器ばってん、まだ戦が始まってもおらん今の段階で大盤振る舞いしゅるんは愚策たい! 金は敵にとって最悪のタイミングで、最高の威力で横合いから殴りつけるために使うもんばい! その辺の具合は俺に任せんしゃい! 」
え、やだカックイイ。そしてかわいい。頼もしい。
「お分かりいただけましたか。私の弟は皆、かわいくて凛々しく頼もしいのです」
アッハイ。
「おう姐御、今回は俺と杵、あと薬研と博多はしばらく休むんだろ」
うん。君ら気がつけば本丸最強クラスになってるからね。他の子を追い付かせるために、今回は君らはしばらく休憩な。
「まあ、俺らばっかりが突出してても部隊編成のバランスが難しくなるからな、イイんじゃねえか」
うちのたぬき君、そういうところ冷静よな。
「俺ぁいろんなところでいろんな仕事をしていた同輩の集合体だからな。組織に何が大事なのかとかも、あちこちで色々見てるぜ。その経験があるからこその判断だ。ただただ暴れるだけが同田貫ってわけじゃねえ」
うん、改めて思った。うちの近侍、杵君とたぬき君のコンビで正解だったね。
「総大将は全体見渡して大軍勢率いるのに慣れてるあいつ、抑えは世間知がそれなりにあって現場仕事に対応できる俺、って配分ができるからな。これで初期刀の陸奥と初鍛刀の薬研と連携することで、対応できねえ非常事態はないんじゃねえか」
つくづく、何事にも動じないメンバーだな。
「いちいち動じてたら戦争なんざ無理だぜ。秒単位で状況が変化する中で即断即決しながら戦闘するんだからよ」
だよね。私も素振りとかしようかしら。
「姐御は物理攻撃のタイプじゃねえだろ。もやしだしな。どっちかっていうとMPのキャパ増やしつつ今日極道目指した方がいいんじゃねえか」
ごもっとも。せめて気管支を鍛えるために運動を、
「やめろ。発作でへたばる方が先だ」
さあ明日は休みだよ。休みなので接骨院行くぐらいしか予定はないの。
朝のうちに行って、帰ったら何もしないつもりでいますが、どうなることか。
今日はもう、岩下の新生姜と生ハム買ってきたからな、泡の出る茶色いやつとか呑みながら読書しよう。
それでは寝るばかりに支度しておくとしようか。
「ところで姐御、丙子椒林剣を丙キチパイセンはねえだろ、もっと考えてやれよ」
え、だって他に思い浮かばなかったから…。
「石坂浩二じゃねえんだからよ」
ダメかえ。
「もうちょい考えてやれ」
ダメか。