一日寝ておりました。
どうもきのうのぎっくり腰が、久々の中ヒットだったららしく、目が覚めても起きられず横になっていました。
夕方になっても痛み方が変わらないので諦めて、腰痛ベルトつけて接骨院行って、診てもらったわけですよ。あさってぐらいまで痛いままだそうで、明日の仕事は大丈夫なのか。
目が覚めたときに動けそうだったら行くかな。
いやあ、何せ座ってるだけですでに痛いからね。
てゆうかこの世界に存在するだけで痛い。
「おい大将、湿布買ってきたのか」
すまん薬研、忘れた。まああと何枚かストックはあるから、明日の朝ぐらいまではどうにかなるでしょう。
「いや勝てねえだろ」
「てゆうか管理人さんは何と戦って勝つの? 」
真っ直ぐな目で訊かないでおくれ乱ちゃん。
「大将が戦うったら、そりゃあONちゃんだろ」
「いや厚待てこいつだろ」
あっ君もひどいが、薬研アレな。ガルガルタンクジョー好きな。
なんてばかばかしいこと言ってますがね、ちょっと体重移動するだけですでに痛いのな。こう、コップをとってポットからお茶を注ぐだけで痛い。座ってるだけで痛いのに、更にそういう細かい動作による痛みが加わるの。
こんな状態で、ゆうべよく酒2本持って帰ってきたなと思うでしょう。
単にあのタイミングで買ってこないと、あれ以上先延ばししてたら面倒になってやらないだろうと思って、強引に持って帰ってきたの。痛いことは痛いけど、結果あそこですませてたので面倒が一つ片付いたのはよかった。
「それで君、今日は結局寝て過ごして、お腹が減ると部屋に置いていた茶菓子を食べていたようだけど、ちゃんと夕食は食べたんだろうね」
「歌仙君ずっと心配してたんだよ。人間の体は腰や首を痛めると大変だっていうから」
台所の神様キター! うん食べました。ちゃんと食うたから。
「君が部屋から出てこないから、心配して御母堂様が二度も様子を見に来られただろう。痛いならちゃんとそう言いたまえよ」
なんて言いながらお茶淹れてくれる歌仙さんありがとう。
「いいかい、明日はきちんと湿布を貼って、腰痛ベルトをつけて仕事に出るんだよ。いつものように眠くて忘れたなんて言って、何もせずに出て行ってごらん。あとで大変な思いをするのは君だからね、わかってるね」
「人間はお医者さんに診てもらって、養生しないと治らないんでしょう。気をつけて、無理は禁物だよ」
…わかった。わかりました。がんばる。
「さすが歌仙と光坊。管理人さんが一切反論できないもんな」
「俺、歌仙さんと光忠さんがああして出てくるのを『飴と鞭のネゴシエイター』って呼んでます」
「鯰尾、君すごいネーミングセンスだな。的確すぎだろ」
後ろで囁き合う参謀・鶴丸と補佐・鯰尾。聞こえてるからな。
「ふたりとも、手が足りなくなったり困ったことがあったらいつでも呼んでね」
「うっす」
「ああ、そのときはよろしくなー」
…まさか、またアレか。君らアレやるのか。フートンの上からホールド。寝返りすら打てないからうなされるんで勘弁してくれませんか。
「いやだって姐御寝てろってのに逃げるだろ」
「厠とか水飲みに行くぐらいならいいけど、起きて読書してたりするからなー。ふんじばるよりマシだと思ってもらわないと。なあまさやん」
「だな。ああ、いっそ青江と亀甲と村正呼んで、枕元で朗読させるか? 読み聞かせだよ。姐御もよく短刀のちび共にやってるだろ」
あのせめて蜻蛉ちゃんと数珠丸さんにしてもらえませんか。トリオ・ロス・地獄の死者はやめようよ。ディズニープリンセスデュオにしてよ。あの3振りだと読み聞かせは絶対「芋虫」とか「人でなしの恋」になるじゃない。管理人さんの本棚、不穏な初版の翻訳だけどグリム童話とかもあるんだ、そういうのを読んでくれる面子にしてよ。
「わかった、じゃあ童話にしてやる。ただし、」
ただし?
「読むのは俺と杵だ」
…うわあ…。たぬき君がめっさニヤニヤしてる…楽しんでるよこの子…。
うちのたぬき君、こういう悪い顔でニヤニヤしてるときは有無を言わせないので、今日はもうおとなしく寝ます。明日は湿布貼って出ないとな。歌仙さんに叱られるのもコワイなのでちゃんとしよう。
あと2日? 3日? まずは痛みが取れないことには仕方がない。それまではおとなしくしておこう。