さあ明日仕事に出れば休みだぜ!
駅前の西○でコロナ発症者が出たとかで、いきなり店閉めて消毒作業が入った煽りで、午後やたらと忙しかったけどもはやどうでもいい。
あと仕事中に、うちの紙袋とメロンの箱引きちぎった切れ端持って「これはお宅の店のか」と来た婆さん。まずは脳味噌をもう少し、脊椎動物程度に進化させて、きちんと筋道の立った話法を組み立てられるようになってから来てくれ。今のあなたの話法は梯子状神経節のそれだ。とりあえず前後の順序を無視して、瞬間的に思いついたことから話を進めようとするのはやめようか。
ということで、非常に疲れております。いや、しかしこの婆さんについては、対応したの新人お嬢じゃなくて俺でまだよかった。お嬢だったらひたすら困惑する一方だったんじゃないか。お嬢が。
もうねえ素直でいい子なのよ。俺の焼酎を叩き割るとか言わなければいうことない子なの。なのでしなくていい苦労はできるだけ避けられるようにしてやりたい。思わず三日月じーさんが縁側で茶ぁ啜りながら、庭で無邪気に遊ぶ短刀と蛍ちゃんを見るような眼差しで見守っておりますが、まあそう遠からずな感じ。
あ、連隊戦…。
「いややめとけ姐さん! 今日のあんた、疲れで目が虚ろになってるぞ! 」
「悪いことは言わん。姐さん今日はおとなしゅう寝るがえい」
「大将やめとけ。どうせ明日仕事に行けば、そのあとは連休なんだろう。そこでいくらでも挽回できるさ。だが今無理をすれば、あとがキツくなる。担当医として言わせてもらうぞ、今日は寝ろ」
えー。やだなあもう、心配しすぎだろ。たぬき君、近侍と相談役と主治医に寝ろとか言われちゃった。
「よしわかった。おーい博多、歌仙と蜻蛉切呼んできてくれ。あと今日の懐当番も呼び戻せ」
「任せんしゃい! 管理人さんば寝かせてみせるけん! 」
いや寝ない!そんなすぐじゃなくて、もう少ししてから寝るって!
「お呼びと聞いて参りました」
「何の用だい、博多が大急ぎだというから来てみたが」
早い! さすが機動の黒田組!
「ああ、君また疲れてるね。顔を見ればわかるんだよ。葛湯を入れてこよう。それを飲んですぐに寝るんだよ。いいね」
「では自分は、床の支度をしやすいように片付けをば」
「博多くんが、管理人さんがよんでるっていうので、ばびゅーんときちゃいましたよ! きょうはぼくが、おとまりでいっしょにおやすみしますよ! 」
あああああいまつるちゃんよく来たねよく来たねありがとうねえ!
「楽しそうだな。それではこのじじいもお泊まr」
「おじいさんはいりません。みかづきは三条のおへやで、おとなだけでおやすみなさい」
うん。じーさん、別に管理人さんをどうこうじゃなくて、単に野次馬で面白そうだから泊まりたいだけだもんな。正直でかいから邪魔。管理人さんのお部屋は、お子様サイズ限定です。身長165センチ以上はお泊まり不可です。
「あーハイハイわーったよ。おら姐御、布団出すぞそっち片付けろ。これでいいか蜻蛉切」
え? 待ってそんな、蜻蛉ちゃんにフートンしかせるとか無理! そんなことさせられないよダメだよ蜻蛉ちゃんに悪いよ! あとは管理人さんやるから! いいんだよ何でも頼まれたからってやらなくていいんだよ蜻蛉ちゃん!
「騒がしいなあ。ほらできたよ。いいかい、これを飲んで、すぐに寝るんだよ。ああ今剣のぶんもあるからね」
「わあい! ありがとうございます歌仙さん! 」
寝ろと言いながらこの賑やかさ。
「じゃあ姐さん、ちゃんと寝ろよー。あとで見に来るからな俺ら」
…寝てなかったらどうなるの?
「鳩尾に一発入れれば寝、大概の人間は寝てしまうがよ」
いや、むっちゃんそれは気絶って言うよね。
なんか寝ないとどつかれて強制的に眠らされそうなので、きょうはおとなしく寝ます。
たぶん明日の晩だったら、イロイロやっても叱られなさそう。
映画観たり読書したりは明日にしよう。
まずは仕事してきます。生きろ。