連勤初日。いきなり頭痛ですよ。
何だろう。眼精疲労か? 薬持ってたので昼休憩のあとで飲んだんだけど、仕事終わって小一時間で頭痛が実家から帰ってきた。
風呂入ったり、あったかいお茶飲んだりすると和らぐということは、血行がよろしくないのか?
「姐御今日は早く寝ろ」
「寝なかったらどうなるか、姐さんはもうわかってるよなー? 」
ああ、気持ちはありがたいというか、たぶん君ら半分嫌がらせというか、管理人さんで遊んでるんだろうけどさ、掛け布団の左右の端を、身長169センチ質実剛健なオットコ前と身長192センチ股下98センチのあほの大型犬系好青年が固めてるとさ、寝てる人は寝返り打てないの。苦しいんだ。はっきり言っちゃうと。
「へいへいわーったよ」
「何だー、俺とまさやんの添い寝は嫌か? 」
両脇にちゃんと自分たちの布団敷いた上で、管理人さんのフートンには短刀ちびっ子軍団の誰かが一緒だったらいいよ。
「だってさー、まさやん」
「じゃあ誰か連れてくるか。北谷はどうだ。春とはいえまだ夜は冷えて寒いってこぼしてたからな」
「千代金丸はでかい連中の呑み会、治金丸は脇差の会でラーメン食べに行ってるからな、今夜はひとりで留守番だってさっき言ってたぞ」
「ちょうどいいや、じゃあ呼んでくるか」
えっ何この段取りのよさ。コワイ!
なんて言いながらお茶飲んでますが。
試食用のお菓子。博多銘菓だそうです。
「博多の鶴乃子ったら、通りもんに劣らんお菓子たい。ふわふわでうまかとよ」
鶴乃子? 鶴さん、どこでこさえた子だ。
「いや知らん知らん俺じゃない。よその鶴じゃないのか俺は覚えがないぞ! 」
うわ。すげえうろたえよう。まあ、みんないい大人だからな、どこで遊んでもいいけどさ、きれいに遊びなさいよ。
「君のその理解ある感じがつらい! 心に刺さる! 」
「鶴丸、番頭補佐とはいえ博多はこの通りのなりだ。そういう生臭い話はやめてくれ。弟の情操教育に悪いものを見聞きさせると一期が腹を立てる」
「うっ。…そういえば管理人さん、うちの図書室、入り口すぐの本棚ひとつが児童書で埋まってるのは、やっぱり一期の要望なのかい? 」
うんにゃ。一期と江雪さんと宗三のリクエスト。あと、親子で作るお料理本とかは、謙信君が来てからみっちゃんに頼まれて仕入れたのと、なーちりーが来てから千代ちゃんに頼まれたのとだな。
「保護者の皆さんによるコラボかー! 」
そうだよ。短刀がいるからね、うちの図書室は棚の一番上にしか春本置かないの。子供の身長だと目線がいかないから。
「それでも脚立持ってきてバタイユとサドを見つける薬研は大したもんだよな」
あー、そういえばこの前は、吉村昭の「少女架刑」読んでたなあ。あいつ。
「そいは何ね」
ウフフ、博多ちゃんは知らなくてもいいものだよ。
「俺は先日、川端康成の『片腕』をすすめられました」
あいつのエロ方面の感性はどうなっておるのか。心配。博多ちゃん、そのうち兄弟水いらずでお出かけとかに誘ってやってよ。行くならお小遣いあげるから。
「おーい姐さん、布団敷いたぞー」
え。敷いたの? 待ってどんな感じに敷いたの。
…あ、私のだけ?
「え、俺とまさやんのはこれから出すけど? 」
いやそれには及ばない心配ゴム用!
「ゴムがどうかしたかー」
あらなーちりー。もしかしてたぬき君が呼びに行った?
「同田貫が、管理人さんを寝かせてやってくれーって来たさー」
そっかー。じゃあ私もそろそろ寝るかな。
さて、あと3日仕事がありますが、一晩寝たら治ってる、となるかどうか怪しいもんだと思うので、頭痛薬また補充しておかなくては。
お茶飲んで寝ます。
何だろうなあ。花粉症かなあ。くそう。