あの劇的なアブダビ決勝からひと晩経ちました。
いやもうすごかった。あんな大番狂わせがあるんですね。
まずはおめでとうマックス! あそこで混乱に呑まれず、堂々と真っ向勝負を仕掛けたその度胸あればこそ、優勝とワールドチャンピオンをもぎとれたんだよ。
本当に、後輩もいっぱい入ってきたのもあるんだろうけど、すっかりお兄ちゃんになったねえ。
んで。
あれだけ私が騒いでいたライコネンは、フロントウィングの歪みでブレーキやられたとかでリタイア。その瞬間、私虚無になりましたが、そのあとレース中にドライバーズ・オブ・ザ・デイに決定。この段階で決定って、俺にはわかる。引退レースだからなんてご祝儀投票じゃない。F1ファンが本当に引退を惜しみつつ、ありがとうとリスペクトと共に票を入れたんだよ。
泣かないぞと思ってもいたし、なんかあっさりと見送りモードだったのに、この速報で思わず漢泣きに泣き濡れた俺。
ありがとうライコネン。まじで15年後にロビン君と一緒に戻ってくるのを待ってる。そして、不用意にピット前とかうろうろして、若い娘さんたちを「あのイケオジ誰」とざわめかせてくれるの知ってる。そしたら古参が「ライコネンパパ知らない? 」って沼に引き込むまでが一連のお作法。それでSNSのタグに「#ロビン君パパかっこいい」とかできるまで見えたからね。
「落ち着け姐御、わかったから落ち着け」
「姐さんステイステイ」
「君、まずはゆっくり深呼吸だ。ほらヒッヒッフー」
うわ近侍と補佐と参謀長が一斉に。大丈夫落ち着いてる。てゆうか鶴丸コノヤロー、それ妊婦さんの呼吸じゃねえか。
「妊婦さんの呼吸、壱の型・ラマーズ法! 」
やめろって、そういうのやると来ちゃうから。
「僕でよければあのモノマネやろうか? 」
ほら見ろ! めんどくさくなってきちゃったじゃねえかよ!
「あー、うん、これは俺がうっかりしてた。すまん」
今F1の話してたから。物真似は今度にしてくれ。
「おっ、そうかい? それにしても、きのうのレースはすごかったな。ところで、中継を観ていて思ったんだが、これ」
うん、ライコネンのマシンだね。
「そう。この色、似てないかな」
何に。
「僕の戦装束」
「ほら。色がそっくりじゃないか」
色だけはな。でもライコネンの方がオットコ前ですから。同じチームの若いレーサーが、自分もラストレースだっていうのに「ありがとうキミ! 」ってシャツ作って、メカニックと一緒に着てたくらいだぞ。しかもインタビューがこの通り、引退とかそういうのまったくどうでもよく純粋にレースのことを淡々と答えてるんだからもう。
それでいて、不意打ちでこんなホカホカ家族ぶりをいきなり見せてくれるのずるい。
「うう、これは確かにかっこいい…。でも僕だって、坊主達と触れ合ってるぞ? それなりに慕われてるはずだ! 」
無理だって。加州とやっさんは「デイサービスのスタッフになったつもりで付き合ってる」って断言してるし、南泉君は、あの子は刀派の末っ子だから、いらない気を遣って完全に接待してる感じになっちゃってるよ。こんなふうに一緒に遊んだりできないでしょ則さんはさあ。
「…明日出かけるから」
どこ行くの。
「スポーツ用品店でボール買ってくる」
影響されすぎだろ。西友のおもちゃコーナーでバドミントンのセット買ってくるぐらいにしときなさい。
なんか気がつけばライコネンの話ばっかりになってますが、いやいやいや。
今日は夕刊見たら、結構でかくマックス優勝が記事になっていて、思わず切り抜き保存しました。
ノウハウはよそにまるっと移植されて残るとはいえ、チーム・ホンダとしての参加はこれで最後。そこでこんなどでかい結果を出してくれたんだから、嬉しくもあり悔しくもあり。チーム・ホンダのみなさんが漢泣きに泣いていたのもグッときました。
ポディウムでマックスがオランダ国旗と一緒に出てきたときに再び俺号泣。
マックス、何度でも言おう。おめでとう。
お父ちゃんも泣いてたもんね。よかったね。
「なんて熱くF1の話で盛り上がってるところ悪いけど、」
あ、みっちゃんどうした。
「管理人さん、明日はリハビリなんでしょ。ご尊父様が車で送ってくださるんだから、ちゃんと早く起きなきゃダメだよ」
アッハイそれはもう。
「さあ、もう11時近いからね、今日は早く寝るんだよ」
オッスオッス。
「姐さん、明日のリハビリで歩いてもいいってお許しが出るには、それなりに健康に生活しないとな」
…アッハイサウデスネ…。杵君のおっしゃる通りデス…。
五郎ちゃんがしこたま肉食って満腹になって帰ったら寝る。
「姐御、この時間帯に『孤独のグルメ』はやめろって」
五郎ちゃんがメニューに悩んでる間にフートンを出そう。
みなさま、F1は2秒後に何が起こるかわからない、スリリングで面白いスポーツなので、来シーズンも注目ですよ!
「姐御、添い寝するか? 」
明日は早く起きられるように気をつけます。
君らは掛け布団の上に寝そべって端を押さえるんだから、まじでやめろ。寝返り打てなくて金縛りになるから。