仕事してきたのだが、仕事中ほぼほぼ脳内では「太刀風」流れていて、更にうちのドン包平が後ろに立って客に向かって「声が小さい! 」「腹から声を出さんか! 」 とか言っていて、もうほんとお前帰れ。本丸に帰れって。
「常に行動を共にせずに何が護衛だ! 大体管理人さんは、自分が審神者だということを忘れてはおらんか。審神者というのはだな、いつ何時遡行軍の刺客に命を狙われるかわかったものではない、替えの効かぬ存在なのだぞ! 」
声がでかい!
「でかくて悪いか! だが管理人さんの発声は悪くない。もっと堂々と! 下腹を意識して声を出せ! 胸を張って、誰はばかることなく! 」
「大包平は元気だろう。茶請けの菓子を切らしているときには、俺は大包平の様子を観察しながら茶を飲むことにしている。見ていて飽きないぞ」
「若いものは活力に溢れていて、楽しいものだなあ」
何してんの、うぐやんも相談役も。
「お前ら仕事しろ。というか俺を手伝え」
うん、もっと言ってやって長谷部。
「じじいは老眼でなあ。夕方になると目がしょぼしょぼして、細かい文字が読みづらくて困る」
「それに厠が近いのがなあ」
待て、うぐやんのトイレ近いのは、それは茶っ腹だからってだけだと思うが。
「それに最近は、立ち上がるときに膝がポキって言ってな」
それ私だよ! 膝がポキっていうの私! てゆうかもう、人間の老化現象、私を観察して言ってるだろ。
「俺が観察するのは主に大包平だが」
「なにせ身近にいる人間は管理人さんだけだからなあ。あっはっは」
悪かったな。もうおじいちゃん共はちっとは長谷部を手伝えよ。
「茶を淹れるくらいしかできんが、それでいいか」
「俺は疲れたときに小粋なジョークで気分転換させてやるくらいしか」
「そもそもお前らが真面目に仕事をしていれば済む話なだけだ」
そういえば長谷部って、事務仕事は何をしてあんな70の顔色になってるの。
「そうですね、いい機会ですから、俺の事務仕事について少々お話し致しましょうか。まず、男士各々が購入した生活必需品の領収書や本丸全体で購入した備品・食材等の金額を計上し、政府窓口に必要経費として請求、それから定期的に全員から意見を求めて福利厚生に必要な設備を設置、これも経費を出して窓口に請求、あるいは事前に予算を計上し窓口に申請。修繕が必要な箇所や、増改築が必要な設備も経費を出して請求。これを毎月やっております」
…ワーオ…ありがとう長谷部…。
「管理人さん、お顔がリビングレジェンドになってますよ」
とりあえず主計局(下宿屋本丸主計局:長谷部・博多ちゃん・松井・チョーさん・肥前君)は年度末を乗り越えたら全員、温泉でも行ってらっしゃい。
「ありがたき幸せ」
あと台所の神様も全員、どこかで休み作っておいしいものでも食べに行ってもらおう。1泊2泊くらいで上げ膳据え膳。
その間どうするって? 心配ない。その間にぶっさんと袮々ちゃんの引率でキャンプの夕べでもやるさ。留守番全員でキャンプ飯。
「管理人さん、そういえばキャンプの経験はないと以前おっしゃっていませんでしたか」
「だとしたら、こうなるのじゃないか」
「まあ、なるだろうなあ。お尻にボタンがいっぱいできるなあ」
いや、管理人さんは部屋で寝るから。
もやしなのでキャンプは行きません。どうせみんな裏庭のちょっと先でキャンプするんでしょ。いつもの短刀お泊まりキャンプ会の場所な。ほら管理人さん、シティ派でモダンガールだから。
「ものはいいようだな」
今言えるのは一つだけ。うぐやん、相談役、今月の消耗品購入表、レシート貼って名前書くだけなんだから早く長谷部に持っていっておやんなさい。
ということで、明日また仕事に出ると休みだよ。
就薬飲んでピークフロー測定して寝ます。明日は何か茶菓子でも買ってくるかな。