仕事してきた。帰って落ち着いたところで風呂に入りつつ洗濯。明日はほぼいつも通りに起きて、飯は食わずにいつもより早く出発しなくてはいかんのであった。
もうね、多少の着替えと小金と通信機器さえ持ってれば、おそらく大概のことはどうとでもなるんですよ。
「開き直っていないで、支度を終わらせておしまいよ」
そういう歌仙さんは終わったんですか。
「僕はもうとうに終わらせているよ。移動は在来線でゆっくりと旅を楽しむと聞いたからね、その間、しばらくぶりに万葉集を読み込んで原点を振り返ろうと思っているよ」
真面目だ。きちんとしている。
「歌を詠む心は常に大事にしたいんだ」
歌仙さんさあ、極めたらあれな。もう包み隠したり取り繕ったりするのすらなくなったよね。極めたら矢立と短冊持った歩いてるもんね。
今日はこれから、ぼちぼち荷物を確認しつつ泡の出る茶色いやつを呑み、早めに寝てしまおう。
しかし毎度のことながら、君らは本当にさあ、荷物が多い子と少ない子と両極端よな。
「光坊は伽羅坊の着替えまで見繕ってパッキングしてるからな、あいつのキャリーバッグでかいぞ。貞坊とか小夜なら中に入って旅についていけるんじゃないか」
あー、昔よく見たなあ。駅売店のネエちゃんやってた頃、高尾駅でバカンスシーズンになると外国人が、そういうあほ程でかいキャリーバッグ2個3個転がして歩いてたよ。で、鶴丸は何をしてるんだ。
「旅に最適な眼鏡をだな」
もう丸眼鏡にしといたら。
「東海林太郎みたいなやつか」
滝廉太郎みたいなやつ。
「また古いところを」
「あんだよ」
鶴丸はみっちゃんが目を光らせてくれるけど、先生がもし湯畑に入って湯の花採取しようとか言い出したら、これでいっぱつどついて眠らせていいからね。おっとこれを読んでる方は真似をしてはいけないよ。
「っていい顔でまきざっぽ出してくるんじゃねえよ」
あ、釘バットの方が効果的かな?
「確かに効くが、手入れが必要になるだろ。観光地で人の目も多いし、こいつぐらいがちょうどいいんじゃねえか」
まあそういうことで、ひとつよろしくな。
「おい、先生の世話を俺一振りに丸投げしようとするんじゃねえ」
大丈夫、むっちゃんと水心子君にも頼んでる。
「あー、陸奥とお師さんか。まあ先生に言うこと聞かせようと思ったら、その二振り呼ぶしかねえな、確かに」
うん。うちの水心子君と先生、よそより結構師弟の要素がでかく出てるもんね。
しかし肥前君は意外と荷物あるね。
「こいつぁ半分は先生の着替えや手回り品だ。先生が自分で旅支度なんかすると思うか」
脇差の本能だ!
「荷物少ねえってんなら、大倶利伽羅と和泉守、お国、あと同田貫と御手杵も少ねえだろ」
本当になあ。ボディバッグとかリュック一つだもんね。
「俺だって一振りでどこか行ってこいってんなら、その程度でいいと思ってるぜ」
まじか。
「着替えなんかせいぜいシャツと下ばき1枚ずつありゃ足りるし、あとは歯ブラシ1本と財布があればどうにでもならあ」
「ねえねえ見て! 管理人さん! ボク、今回の旅で思い切ってワールズエンドのお洋服とロッキンホース買っちゃった! 」
かわいい! かわいいよ乱ちゃん!
「京極君と双子コーデなんだよ! 」
それ絶対かわいいやつ!
「おい姐さん、余湖・田畑版忍殺の、ネコネコカワイイのファンみたいになってるぞ」
あ、肥前君も忍殺読んでるんだ。
「俺ん中では余湖・田畑版が至高だ。ナンシー=サンがちゃんといい女だ」
わかる。さては肥前君、気の強い女好きだろ。
なあなあ、そのうち遡行軍生け捕りにして、うちのみんなでスシ・トーチャリングしねえか。
「それやるんなら、ある程度いろいろ知ってそうな幹部クラスでねえと意味ねえだろ。叩っ斬るならともかく、生け捕りは骨だな」
でもさ、いつかやろうな。
「お、なんだなんだ。遡行軍生捕りか。俺もスシ・トーチャリングならやってみたい。実現するときにはひと声かけてくれよ! 」
お前、どんだけわかってるんだよ鶴丸。最高か。
うーん、しかしロッキンホースは、あれ結構がんばって転びながらもはいてた、健気なロリータ少女たちが大勢いたそうですが、乱ちゃんと京極ちゃんは見事にはきこなしそうですね。刀剣男士の身体能力、たぶんF.S.Sのファティマとか女性騎士並に高いと思う。10センチのドッカンピンヒールでも平気で戦闘できる。あと加州もルブタンのピンヒールブーツとかかわいくはきこなしそう。
だが私は明日はスニーカーだし、旅先ではくのは下駄なのであった。
「無理すんなって姐さん」
杵君はもう支度終わったのかい。
「パンツと歯ブラシと財布持ってりゃなんとかなるだろー」
なるといいね!(机バンバン)
もうやれることは大してないので、荷物確認して湿布キャリーに入れて寝ます。
明日はスパッと起きなくては。