仕事してきた。
年明けてからちょっと困ったことがあってだな。
「長義は管理人さんが何に困ってるか、わかるかい」
「さあ? あの人のことだ、大方買ったはいいが本を読む時間がないとか、寝る時間がないとか、執務室に置いている鉢植えの世話が大変だとか、そういうことじゃないのかな」
「わたしは、おさけにあわせてもおいしくいただけるスイーツがたべたいとか、そういうことだとおもうよ」
「で、大般若はどう予測してるんだ」
「このおじさんのことだ、空からお金降ってこないかなとか、そういう悩みだと思ってるんじゃないかな」
「でも管理人さんの言いそうなことだろう」
「まあ彼女はよくそういう戯言を口から漏らしてるけどね、あれはいつも、お国の教育に悪いからやめてくれとは言っているけれど」
お、なんだなんだ、長船部屋にぎやかだな。
「管理人さん、君、なんだか悩みがあるんだって? 」
え、まああるっちゃあるが、そんな心配かけるほどではないぞ。
「なににこまっているのかな。おいしいスイーツなら、いつでもわたしがよういするよ」
あー、うん、そうでなくて、ってなんか大事になってるな。
いや、あのね、暮れに弁当用の梅干し使い切っちゃってさ。で、新しいのをマミーが出してきたのを食ってみたら甘いんだよ。
「減塩梅干しというやつか」
「光忠さんが、やたらしょっぱいのは塩分がえぐくて体に悪いって言ってたよね」
みっちゃんはいうでしょうよ。あの子はヘルシー志向だもの。でも私ゃな、梅干しは遊びのないしょっぺえやつが好きなんだよ。飯にもその方が合うし。あと、元々が保存食だし、弁当に入れるのだって殺菌効果を見込んでのこともあるでしょう。弁当が悪くならないように入れてるんだから。それが、殺菌効果の低い減塩梅干しなんか入れてみなさいよ。夏場なんかアウトだぜ。今クッソ寒いからまだいいけどさ。
梅干しの塩分は11%から!
「わかるぜ姐さん。漬物はしょっぺえのがいいよな、パンチが効いててよ」
「兼さん、カリッカリでしょっぱいたくあん大好きだもんね」
「おう。飯と一緒でも、そのままでも、あれはうまいからな」
おお、違いのわかる男がここに。
で、まあうちに今ある梅干し全部が、甘いのしかねえと判明しましてね。仕事の帰りに西友で買ってきましたよ。売り場に並んだ中で一番塩分が濃い10%で買ってきたけど、これがどう転ぶか。これでもまだ甘いのか。不安しかねえ。
「はいはい、しょっぱい梅干しもいいけれど、君はまず明日の仕事の支度をして、早く休みなさい」
それはそう。
ということで、もう今日は寝るか。
あと2日仕事するとお休みなので、どうにか生きる。