仕事して来た。帰りがけにルピシア寄って、フルーツティーとデカフェ買って来た。
いや、紅茶大好きなんよ? だが呼吸器科で処方されてる薬がカフェイン近似の成分みたいで、しこたま紅茶飲むと体がワナワナするようになっちゃってなあ。薬剤師さんによれば、ノンカフェインに切り替えるといいんじゃないかと。
明日の帰りになんか茶菓子買ってこよう。そしてお茶淹れる。
「そうだな、茶は大事だぞ」
大事なのはわかるが、だからってパナールちゃんの修学旅行の土産でもらったもみじマンヂウの中身、カスタードと抹茶クリームがあったのを見た途端に「茶があるな。管理人さん、茶だ」って耳元で、お前ほんと心臓に悪いからやめろ。おそろしいからな。いきなり背後から囁かれるのは何なん。ささやき女将か。
「船場吉兆の女将か。もう大半の人は忘れてるんじゃないか」
お黙れ。
「管理人さんのあの、微妙に古いネタを出す感覚は一体どういうところから出てくるんだろうな」
「大包平様、そこは大目に見て差し上げては」
「俺は新しいものはさっぱりでなあ。管理人さんぐらい微妙に懐かしいネタを出してくれるとありがたい」
失敬な気配を感知。平野君、今このおじいさんたち、なんか失礼なこと言ってなかった?
「管理人さん、お茶は如何ですか? 今お淹れしますね」
平野君はいい子だねえ。管理人さんのお膝と懐はいい子の専用スペースだよ。
しかし、仕事してるといろんな人間の顔を見るわけで、まあアレですよ。その人間の生活状況とか性根とかが何となく察せられるの面白い。
大体、くたびれた格好してる人間に多いのが、下唇突き出て口角下がってる人相で、見るからに日常が不満だらけなんだろうなとわかる。逆に質素な格好でも笑顔の人間は、それでも身なりがきちんとしていて、質素なりにいい生活をしているんだろうとわかりますよ。
不満そうな人間は、そんなに人相が悪くなる前に自分の生活や人生をカスタムチェンジしたらいいのにね、とも思いますが、どうなんすかねえ。趣味があるならそういう些細な楽しみでも、まるでないより遥かにマシでしょう。毎日寝る前にヨガをやるとか、休みの日にはフォールアウト4で密殺三昧とか、ときどき山に登って修行するとか、公序良俗に反しないものであれば、そうして気持ち切り替えてイライラした時間を減らすようにすればいいのに。
「世の中、そうもいかないことだってあるだろう。生活するだけで手一杯で趣味や余暇に回すほどの金なんかないという人だっている」
うん、チョーさんのいうこともわからんでもない。が、それでも金をかけずに楽しい遊びだってあるぞ。
「そんなもの、本当にあるのかい」
あるぞ。
「へえ、それなら後学のために一つ教えてもらえるかな」
お、何だ、さては馬鹿にしてるな。審神者を舐めるな。
私もまあ、今よりもっと遥かに金がない頃があったが、それでも金をかけない遊びを開発していたぞ。たとえば、そうだな、新聞のテレビ欄を見て、深夜とかに聞いたこともないD級映画をかけてたりするだろう。
「ああ、あるね。雑誌で言うなら埋め草みたいなものかな」
そういう映画の、タイトルだけ見て勝手にストーリーを予測する。
「予測というか、でっち上げるっていうんじゃないのかな」
まあそうともいう。これで半日は遊べる。
「それ、正解がわからないんだから投げっぱなしになるんじゃないのか」
正解がわかるように遊びたいなら、何人かで集まって、テキトーに動画配信なりレンタル屋なりで、ジャケ写とタイトルだけで1本借りて、実際に観る前に全員で内容を予測。出揃ったところで鑑賞。これなら午前中に始めておやつどきくらいまでは遊べるだろ。
「集まったメンバーによっては闇鍋みたいになるんじゃないか」
それもまた醍醐味よ。チョーさんもやる?
「君ね、その遊びをやるなら、お国を誘うのはやめておくれよ。あの子にはもっと知性と教養を磨ける遊戯に触れさせたいからね」
アッハイ。
さて、明日もまた仕事だが、明日は出勤早いからな、起きる時間に気をつけないとな。あと接骨院に寄れるから、診察代ぶんの金持っておかないと。
水曜は工事があるからな、明日の晩は酒呑まずにお茶にしよう。
もう夜中にすげえ気温下がるようになったし、そろそろ寝る支度します。
ぼちぼち茉莉花の鉢を部屋にしまう支度もしていかないとね。