仕事してスポンジとグローブ買ってきたので、もう私は明日朝イチで床のワックス剥がす仕事にかかるしかなくなったのであった。
もう自分でどうにかするしかないだろ。業者に頼むと3万近く取られるし。
そんな金があったらとうらぶか遠征か湯治に使いたい。
帰りがけに地元の本屋に寄ってみようと思ったら、駅前ビルの3階が本屋なんだ江戸、8時前ですでにカーテン閉まっていて、階段の手すりも埃かぶっているので、どうもいよいよ店閉めたのかもしれない。仕方なく駅ナカの本屋で取置きを頼んでみれば「人気のものなのでうちの入荷分が間に合うかわかりませんが一応保険程度で宜しければお受けしましょうか」と言われ、とりあえず頼みはしたものの、もうこれいっそ尼損で頼む方が一番確実だろうと開き直りました。
初版の黄金に包まれた「百年の孤独」は、このくらいしないと手に入らんでしょう。
とりあえず今のところは、洗濯して干してスマッホ用のモニターアーム外しました。あとは神棚を一旦下ろして、鏡台の上の細かいものをまとめて、動かせるものをすぐ動かせるようにして寝てしまえ。
あとは明日の朝にやる。
「それにしても、管理人さんも励むねえ。やるとなると一日仕事なんだろうに、君も好きだねえ」
だって他人に任せると金がかかるから。自分でやれば薬剤と道具の代金だけぞ。
いいか青江、お前はあれよ。管理人さんが作業してる後ろでなんか落語とか語って聞かせるのが任務ぞ。「真景累ヶ淵」はこの前歌丸師匠の語り直しフルバージョンをヨーチューブで聴いたから、なんか違うものをおやんなさい。
「それなら僕が怪談やるより、鶴丸さんが『愛犬チャッピー』やったほうが面白いと思うよ」
まじか。春風亭昇太ばりの「俺ぁ柴犬なんだよ! 日本人なんだよ! タロとかジロとかでいいんだよ! 」って魂の叫びが聴けるのか。
「マクラで万屋街のファンシーショップのマダムネタが出てくるもんだから、日本号さんとか長谷部君に陸奥守君が大爆笑だったよ」
え、あの松島トモ子に激似のマダム? 今時珍しいスピッツに、エリザベス女王の肖像画みたいなカラーついたベスト着せてるあのマダムでしょ。犬は懐っこいけど、あの犬確かオスだったよね。おのこにあのフリルとレースのベストはアリなんかな。
「まあ、封建時代のヨーロッパの貴族王族なんかみんなあんなもんでしょ。男女の別なく派手だったよね。確かハイヒールも、小柄な王様が履き始めて大ブレイクしたんじゃなかったっけ? 」
よく知ってるな。
「数珠丸さんが、加州君が式典参加用の装束の靴でルブタンを新調したのを見て、そんなこと言ってたんだよ」
ああ、式典用の甲種礼装のアレかあ。靴単体で見るとクッッソ派手だなとか思っちゃうのに、きよみっちゃんが履いてると「やだカワイイ」とか思っちゃうの謎だよな。
「それじゃあ鶴丸さんに、春風亭昇太の新作落語ネタを頼んでおこうか。ついでに鶴丸さんには、管理人さんを早い時間に起こしてあげるようにお願いしておくよ」
待って青江、後半の目覚ましはいらない! あいつが起こしに来ると、いらねえ恋バナとか聞かされるからいらない!
「おい管理人さん、来月前半の、古備前の休暇希望の申請書だ。…今、明日の朝の目覚ましと聞こえたが、明日は早起きをしたいのか? そういうことなら俺が起こしてやろう。どうだ」
ドン包平はいつも何時に起きてるの。
「俺は健康的な生活を胸としているからな。朝は日の出と共に目を覚まし、夜は10時には寝る支度を完了するぞ」
予想以上に健康的!
「この、刀剣の横綱たる俺が起こすのだ、大船に乗ったつもりで休むといい! 確か管理人さんを起こすには、枕元に控えて恋の話など聞かせてやるのが作法だったか。鶯丸が言っていた」
それは違う! うぐやん何を教えてるんだ!
「あいにく俺は、そうした色恋の浮いた腫れたには縁がないが、好みの女優について語ったしするものもいたというではないか。それなら俺にもどうにかなるであろう」
え、ドン包平、どんな女優好きなん。待ってそれは気になる。
「明日の朝を楽しみに待っていろ! はっはっはっは! 」
まじかあああああああああ!
ねえ青江、なんか聞いてる? ドン包平の好みの女優。
「なんとなく小耳に挟んではいるけど、まあ明日の朝にわかるんじゃないのかな」
気になるなあ。寝てるどころじゃねえ。
ということで、明日はもう丸一日作業のつもりでおります。
とっとと寝て、起きたら即動かないとな。
天気予報を見るに、今週が最後のチャンスだと思ってるのでがんばる。