仕事してきた。
信じられるか。明日とあさっても仕事なんだぜ。嘘だろ。
帰ったら星海坊主(親父)がなんかモジモジして「雑種犬ちゃん水曜日はお休み? 」とか始まって、なんだなんだと思ったら「お休みだったらうなぎを食べに行こうと思うんだけど」。うん、その切り込み方だと「行って来いや」しか返しようがないよな。
結局マミーが「あんたも行くかって言わないとダメでしょう」と介入。
だが星海坊主(親父)、そんなモジモジしてると「小便してえのかなんか言いたいことがあるのかどっちだ」って言いそうになるからやめろ。
「どうして彼女はあんなに口が悪いんだろうか」
「管理人さんが言うには、スプロール三部作と『ブラック・ラグーン』と稲見一良の小説を読んでいたら語彙がハードボイルドになったそうだけど」
「でも、かんりにんさんは、こどもたちにはめせんをあわせてやさしくはなしかけてくれるので、わたしはとくにもんだいないとおもうよ」
「小豆はほら、管理人さんが存分に好きなことしろって、甘味作る材料費に毎月カンパしてくれてるからお点が甘いんだよ」
「俺の酒代も助成金出してくれると嬉しいんだけどな」
「あなたはあきらかに呑み過ぎかな」
「んおっと」
「それに、管理人さんが酒を呑んでると加わって、ご相伴に預かるだろう。お金じゃなくて現物支給を既に受けてるんだから、助成金までってのは強欲ではないかな」
「これは手厳しいな」
「長義もっと言ってやって。このテキトーおじさんにもっと言ってやって」
「大般若、長義のいうことはぜんぶしんじつだから、あまんじてうけとめなくてはいけない」
「なんかこれ、俺かわいそうだな」
「かわいそうというには、ちょっとふてぶてしいかんじがじゃまをしてるね」
また今日も長船部屋は賑やかだな。
「賑やかというか、あなたの話をしていたんだよ管理人さん。もう少し口の悪いのを改善してみようと思わないかな」
え、私の口、悪過ぎ?
「そんな、何年前かに流行ったネットミームで応じるんじゃないよ。いいかい、管理人さんは俺たちにとっては、人間の体で生活するお手本なんだからね、自覚がないようだけど結構責任は大きいんだ。お国に真似されても問題ないよう、常に折り目正しく生活してくれないと」
「ちょいと待ってくんな長義の旦那。あんた、忘れちゃいねえか。ついこの前の年越し宴会のときのことを」
「何があったっけ」
「鶴丸の見せパンツにきっちりツッコミ入れた大将の偉業、毎年アレで二次会の空気がバキッと決まるの、忘れたわけじゃねえだろ。うっかり大将を品行方正になんてしてみろ、アレを誰がやるんだ」
「反論できない…確かに、俺は折れてもやりたくないが、お国にはもっとやらせたくない」
今年のはアレ、なんて言ったっけ。ああ思い出した。パンツの前に竜の顔ついてたから、お前それ神社の手水舎みたいに竜の口からしょんべんするなよ、って言ったんだった。
「俺も同じこと思ってたから、大将が突っ込んでくれて助かったぜ」
そうか。それは何より。
「これからもそのままの飾らない大将でいてくれ」
なあそれ、褒められてるの? それともぶん投げられてるの?
「褒められてないだろ」
「俺は褒めてるぜ大将」
明日も仕事は遅めの出勤ですが、ゆうべ変な夢見てたもんで、ちょっと疲れてるのか。なあどうなんだ。
「姫鶴の兄貴は『別に危険が迫ってるとかじゃないから大丈夫っしょ』って言ってたにゃ」
え。姫鶴さん、夢枕ポジで私の夢の中身見てたん。
「『危なそうだったらぶった斬って助けてくるかと思ったけど、なんか平気そうだったし帰ってきちゃった』って、夜中に起こされて聞かされた俺の気持ち」
あの、なんかごめんな?
ということで、ぼちぼち寝る支度してしまおう。