仕事してきた。ゆうべからなぜかいきなり食欲がないのだが、どうなっておるのか。
なんだ、熱中症なのか。いやでもさほど暑くはなかったぞ。きのうは。
お昼に天ざる食べたまでは問題なかったんだ。どうなっておるのか。
だがまあ、今はまず他のことだ。今はねむみが凄まじくてしゃーないので、そっちをどうにかしていかなくては。
「していかなくてはっつうかよ、寝ちまえよ姐御」
まあ寝るけどさ。それでもいろいろあるんだよ。やっとかないといかんことが。
「大将また顎関節症出始めてるな。いい薬があるが、どうだ」
「健康なワシでお試しするんはやめとうせー！ 」
「おー、薬研、死なない程度に弱らせといてくれや。陸奥、お前そこでしばらく大人しく寝てろ」
「肥前の、助けてー！ 」
むっちゃん、そこは水木しげる先生式に「タチケテー」でいこうぜ。
「ワシ今そこまで余裕ないー！ 」
「まあまあ旦那、グッと一気に。大将を助けると思ってだな」
「待ちたまえ薬研君！ ご主人様のためなら、この僕にぜひその役目を与えてもらえないかな。陸奥守君にはいささか荷が重いようだからね。僕なら、たとえどんな苦しみだろうと耐えて見せるよ。ご主人様のためならば！ 」
てゆうかそれは、ただただ亀甲がしんどい目にあいたいだけだよね。
「同じしんどいのでも、僕が受け止めるのはご主人様と弟たちのためだけだよ！ 」
ブレねえなあ。
薬研、いい加減むっちゃん解放しなさい。
「お、なんだ臨床実験は不要か。そんなら早速一発いっとくか。大将、ほれ」
鼻をつまむな。何をする。…まっずい！
「もう一杯！ 」
青汁のCMじゃねえ！
なんか薬の効果がどうこうより、あまりのまずさに体調がどうこうとかが心底どうでもよくなった。
「それで、眠いのはどうなった大将」
いや、眠いが？
まず快適に眠るってのがなあ。どうなんだろう。何が必要なんだろうな。
「大将、そういえば部屋が暗くないと眠れなかったな」
うん。明るいとダメ。あと最近は電車の中で寝るのは、よほど疲れてるときでもないと難しくなってきてる。
「てゆうかそもそも管理人さん、睡眠時間もっと確保しろって話だにゃ」
正論を吐かれた！
まあいい。眠るにあたって、あとは何が必要なんだろう。寒くもなく暑くもなく、フートンがあって、静かで、程よく湿度があって、
「お、何だ何だ。落とし穴の中とよく似てるな。鶴さんと一緒に入るか？ 今ならカラーボールとアヒル隊長が一杯だぜ」
また掘ったのか。裏庭に掘ったのか。まあ墓って言わないだけ、極めてから成長したな。
「おっと、ここから先は黙秘だ。誰が落ちるか、そのときが来るまで秘密だぜ」
おら吐け。どこに掘った。唄え。
「うん？ 君、なんだその、手に持ってるすごい色の汁が入ったビーカーは。あとそれ端的にいって臭いんだが？ 」
私がさっき薬研に飲まされた何かだ。
「あ、そんな、鼻をつまむのは卑怯だぞ！ ……まずい！ 」
「もう一杯！ 」
天丼はやめろ薬研。
「『魔法陣グルグル』の、盗賊のお頭のクソマズ料理がこんななんじゃないのか？ あらゆるまずさが地獄のハーモニーを」
意外と元気だな。もう一口いっとくか。
「やめてお願い」
とにかくだ。眠りに入るのに何が必要なのかは人それぞれではあるよな。
明るくても平気で寝られるとか、うるさくても平気とか、個人差でかいよね。
「俺とまさやんは割とどこでも平気だなー」
だよね、わかる。守りたいこの寝顔。
「俺は睡眠にもちゃんと気をつけてるよ。カワイイはいい睡眠から」
かんわいいなあもう。
「俺はちゃんとおやすみ用のアロマたいて、布団や枕も気をつけて、寝るのに最適な条件整えて早く寝るようにしてるからね、いつでもお肌ツルツル、髪もサラサラだよ」
さすがオシャレ番長。
「何やってるんだ。さっきから隣の部屋で聞いてたら、寝るとか寝ないとか」
あ、チョーさん。
「なんでもいいけど、君そんなに眠いならもう寝てしまえよ。俺でよければ永眠させてあげてもいいんだよ？ 」
明日も仕事なんで勘弁してくだちい。
ということで、チョーさんが斬る前に、なんか管理人さんの人生の最後を飾るのは俺だと思ってるメンバーが結構いるようなので、血で血を洗う抗争が起こり兼ない。もう今日は大人しく寝ます。無駄な争いは避ける。
「え、お国と俺とで前後からこう、袈裟斬りに、って思ってたんだが、ダメなのかい？ 」
そういうセンシティブな話は後日な。あっ君とか薬研とか、粟田口だけでも過激派がいるからすごい争奪戦になると思うよ。
「そんなもん、杵が心の臓をひと突き、俺が首を落とすのに決まってんだろ」
ほらー。近侍と補佐も割と過激派なんだからさー。
この話禁止なチョーさん。管理人さんは喧嘩になる前に寝ます。以上。
明日もちゃんと早く起きなくてはな。
