仕事してきた。そして明日も仕事に出ると、あさっては休みなのであった。
湯治から戻って1ヶ月か。まだそんなもんなのか。なのに既に「温泉に入っては牛乳を飲み散歩をして買い食いするだけの生活をしてえ」になってる辺り、そこまで疲れているのか俺は。
もう日帰りでもいいか? とにかく丸一日だらだらできるところに行きたい。
「家でだらだらするんでもよろしいんとちゃいますのん」
家でもだらだらできるのはな、条件が限られるんだよ。
まず、掃除洗濯が全部終わってて、皿洗いだの買い物だの鉢植えの手入れだの、雑多なものすら片付いてて、お客が来る用もなく、翌日に仕事だとか、とにかく気が休まらないものが控えているわけでなく、時間がごってりあって、そういう状態でないと無理。
「自分、明日出陣やと思てものーんびりできますけど」
その分、愛染君と蛍ちゃんが気を遣ってるんだよ。
「国行はスロースターターだから」
ほらー! 言われてるぞ!
「だけど休みの日には、必ず俺と蛍の朝飯と昼飯作ってくれるんだぜ」
え。ねえ愛染君、来派のパパ飯ってどんなの出てくるの。
「朝は大概、ご飯の上に目玉焼きとソーセージと海苔とか乗ってて、」
ソーセージ丼じゃん。
「昼はホットサンドだぜ。ハムとチーズのと、ツナマヨのと、最後にジャムとクリーム挟んでるのが出るんだ」
意外とまめだ! 頭数増えてきたところで、普段の週末2日間はみっちゃんと歌仙さんお休みにしてたけど、みんなそれぞれ楽しんでるのな。
「うちはにこちゃんと一緒に、お昼にたこ焼きを作ったりしますよ。兄弟でたこ焼きパーティです」
数珠丸さんが? 焼くの?
「私、尼崎におりますから。地域の名店に通っては、店員さんの手捌きをじっと観察しておりました」
言われてみれば。
「俺は現在、カロリーメイトとヴィダーインでカロリー摂取しつつ月末締めの作業を進めております。月末と週末がかぶると、光忠がうるさく絡んでこないのがいいですね。仕事に集中できます」
あー、みっちゃん週末には、伊達と長船全員呼んで新メニューの試食会やるもんね。
「博多は兄弟と一緒にハンバーグを作るとか言っていました。松井は郷のもの揃ってぶどう狩りに行くそうで、長義が長船の試食会から戻り次第、事務作業を手伝ってくれる手筈です」
長谷部は甥っ子とどっかにご飯食べに行ったりしないの。
「先週は昼にココイチに連れて行ってやりました。あいつ、一番量が多いカレー頼んで更にトッピング全乗せなんてしましてね、食べ切れるのかと思って見ていたら、全部きれいに食べ切った上に『おかわり頼んでいいか』って、あいつの腹はどうなっているんですかね」
成長期の胃袋だから、ほら。
「さすがにカレーは阻止しましたが、俺の顔を見て『顔が疲れてるな、糖分でカロリー補給しとけ』とか言ってクレープ屋に行って、バナナと苺と生クリームとチョコレートアイスがもりもりに包まれているクレープを食わされました。俺の金で」
かわいいもの食べたのね。
「カロリーと糖分はかわいくない感じでした。ちなみに大倶利伽羅は、同じ物を俺の半分の時間で全部食い切りました」
ほら、成長期だから! な!
長谷部は何が好きなの。
故郷の母ちゃんの味!
さあそろそろ寝る支度して、とっとと寝てしまうとしようか。
明日仕事に出れば休みなんだ。今日はもう寝るぞ。
「管理人さんは、何がお好きなんですか」
え? 私かい? って、好きな食べ物?
「ただいま、お待たせ長谷部。…え、彼女の好きな食べ物? 訊くまでもないんじゃないのかな。どうせ酒のつまみとかいうのがオチだよ」
悪かったな。
ちなみに私が好きなのは、岩下の新生姜とコンビーフとマヨネーズで作る、人をダメにするディップです。あと阿闍梨餅と出町ふたばの豆餅。
「ほらね」
じゃあチョーさんは何が好きなん。
「俺はずんだ餅」
みっちゃんのお得意じゃん。長船の子はみんな好きっていうやつ! やっぱりチョーさんも長船の子だな。
「いいから、君はもう寝る支度して服薬したらどうかな」
はいはい。それじゃあ、明日の夜に作業追い込まれてるようだったら呼んでな。
ということで、フートン出すか。明日の薬の支度しておこう。